61曲目 志麻 ページ11
志麻side
可愛い、と言っただけで簡単に頬を赤らめるAが可愛くて、どうしても二人きりになりたくて、Aをカラオケに連れ込んだ。
歌い慣れた歌の歌詞は自然に出てくるので見る必要はなく、歌いながら彼女を盗み見る。
というよりも結構ガン見しとったけど。
程なくして、彼女も目線のみで俺の方を向いた。
ばっちりと目が合う。
…しまった、見てたのがバレた！？
俺は急いで目を反らす。
それはそん時だけで、またそう時間の経たない内に盗み見てしまうのやけど。
くすくすと笑うA。
フラッシュバックする、俺をお父さんと呼んだA。
冗談で言い始めたことなのはわかっとる。
でも俺はいつからかこれを利用して、こいつのお父さんであると思い込むようにした。
こんなにも彼女の笑顔が愛おしく感じるのは、お父さんやから。
こんなにも俺の目に彼女が可愛く映るのは、お父さんやから。
何回、誰が注意したって、こんなにも無防備なAを守りたいと思うのは、お父さんやから。
こう思っていないと、すぐにでも食べてしまいそうやったから。
無理矢理に、力づくで、ぐちゃぐちゃに、この手で。
でもな、A。
それは、お前だからなんやで？
偶然目が合って触れ合えれば、誰でもいいわけやない。
普段クールな彼女らしからぬ可愛らしい歌を歌うA。
ああ、可愛い。触れたい。
押し倒して、驚いた彼女の唇を奪いたい。
カラオケに誘ったのは、二人きりになりたかったのは。
この不純な思いを消し去る為。
これでこの想いを最後にして、このボックスから出たらお父さんのように振る舞う為。
…ああ、この娘を手中に収めるのは、誰になるんやろう。
うらたさん？坂田？センラ君？さっきの仕事仲間？
それとも全く知らないやつ？
誰だって、Aが選んだやつならきっと大丈夫やろう。
俺には、Aの幸せが一番やから。
俺には。
「俺には、お前が一番やから」
気付けば、彼女を抱き寄せていた。
ああ、止まらない。
背徳感で、身体に電撃が走ったかのように背がビリビリとする。
腕の中に収まる、Aを見た。
ああ、思えば初めて出会ったあんときから。
俺はお前に惚れてたんかなぁ。
一目惚れなんて、アホらし。
なぁ、A。
これで、男としての俺は最後にするから。
俺の最後の願いを聞いてくれや。
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Shooto_Keeki(プロフ) - たまたま見つけて読んでました。もう本当に最高でした、最後の展開で泣きそうになっちゃいましたよｗ (2019年9月22日 19時) (
レス) id: 7c93d27e64 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 時雨さん» 最後までお読みいただき、ありがとうございました！涙だなんて、そんなに感動していただけてとても嬉しいです…！ (2019年1月31日 9時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - とても凄くて感動しました…!!(語彙力低下)最後涙が…;;素敵な作品、読ませていただきありがとうございました…!!!!!! (2019年1月31日 0時) (レス) id: 274b7ae121 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 夢愛-ゆあ-さん» 長編になっていますが、最後までお読みいただきありがとうございます！泣いていただける程感動してもらうことができ、私もとても幸せに思います。わざわざコメントまでいていただき、ありがとうございました！ (2019年1月7日 22時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
夢愛-ゆあ-(プロフ) - とても面白くて一気読みしちゃいました…！最後の方は感動で涙が止まりませんでした…(涙)実は小説を読んで泣いたのって初めてで自分でびっくりしてます(((それほど素敵な小説に出会えて幸せです！今から番外編も読ませていただきます！長文失礼しました！！ (2019年1月7日 19時) (レス) id: b3b95c5e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽飛 | 作成日時：2018年11月14日 19時
