第五十六話 ページ10
「A……!!」
色んなところを探し回った。
そして家からだいぶ離れた所で、竜胆は自分が過去に付き合った女達を見つけた。
なんであんな所で……?
「竜胆、久しぶりね。あの子、自分の罪に耐えきれず、飛び込んじゃったわ……」
「そうなの…けどこの濁流の中じゃ…」
次の瞬間、竜胆は水の中に一切の迷いなく飛び込んだ。
「は…?嘘でしょ?本当か嘘かもわからないのよ?それなのに何でそこまで……!」
A、どこだ…!さっきあそこにあったAの靴に血が付いてた。
Aは足を怪我している……!!
クッソ…!水の量が多すぎてどこにいるか分かんねぇ…!!
…─!?
そう思った時だった。
水の中で、何かがキラリと光ったように見えた。
その一瞬の光を頼りにひたすらそこへ泳いだ。
……これだったんだな。お前の場所を教えてくれたのは。
もう、迷わねぇ。
お前がどこか遠くへ行っちまっても、俺が必ず見つけ出す。
「っ!!」
竜胆はAを抱きしめて、水面から顔を出した。
必死に息を吸う。
Aは気絶してるけど生きてる……!
「はぁ、はぁ…」
Aを連れて竜胆は陸に上がった。
女達は居なくなっていた。けど今はどうでも良かった。
Aが生きてた、それだけで……
Aの身体がどんどん冷たくなってる……
足の怪我もひでぇ…
早く医者に、見せねぇと…
竜胆の腕の中のAの左手の薬指には彼から貰った指輪が光った。
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年10月16日 19時