第五十七話 ページ11
「……!!」
目が覚めると病院だった。
「あ、目ぇ覚めた?」
「兄貴…?」
「詳しいことは知らねぇけど、お前A抱えて病院行こうとしてたんだろ?それで倒れてさ、舎弟が病院運んでくれた。」
「Aは……!?」
隣には眠っているA。
「大丈夫、寝てるだけだ。足の出血が酷かったから手当も受けてる。」
Aの足には包帯が巻かれていた。
「良かった……」
深く息をついて、脱力した。
「…兄貴」
「んー?何?」
「ありがとな。あの時追いかけてなかったら、少しでも遅かったら…」
「こんな時まで気にすんな〜?まァ色々あったわけだけどさ、お前らが無事で良かったじゃん?」
「…そうだな。今はそれ以外何も考えられねぇや。」
「Aが目ぇ覚ましたら、本当の事教えてやろうな。」
「ああ。そうする。その時、ちゃんと伝える。それで駄目だったら、俺はAだけを想って生きていくことにするワ。」
「なぁに言ってんだ。お前は俺の弟なんだから、そう簡単に振られるわけねぇよ。」
Aが落ちたとわかったとき、気が狂いそうになった。
兄貴がいつも通りいてくれるから、ずっと張り詰めていた糸が緩んだ。
こんな時に、兄ちゃんが居てよかった。
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作者名:桜花 | 作成日時:2022年10月16日 19時