煉獄杏寿郎に愛されて。【短編集】【煉獄杏寿郎】 (ページ3)

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さてどんな奇行に走るのだろうか、

と内心ワクワクしながら彼を眺めていると

彼は徐に立ち上がった。

それから棚から財布を取り出してきて

一万円札を十枚近く取り出すのだった。

A「ちょっ…、杏寿郎？？」

杏「俺は君のように何かを作ったり

　プレゼントすることは得意ではない！！！

　だから

　いくらでも好きなものを買うといい！！」

だめだめだめだめだめ、

と連呼しながら、私はお札を財布へ入れ戻す。

A「お金は自分のために

　もっと大切に使うんだよ、杏寿郎。

　頑張って稼いだお金なんだから」

　彼からはこの間も高価なネックレスを

　もらったばかりであった。

それだけではない。

光熱費や電気代、食費は、

彼が3分の２を出してくれている。

いくら稼ぎが悪くないとはいえ、

彼はお金の使い方が下手すぎるように私は感じる。

いつでも、どんな時でも

他人のために使おうとしてしまう。

そんなところがたまらなく愛しく、

彼のそばにいたくなってしまった理由なのである。

杏「しかし、俺は君に貢ぎたい！！」

一寸の曇りもないその瞳で見つめられるので、

その右手に私は自分の左手を重ねた。

A「じゃあ、杏寿郎にしてほしいこと

　考えて待ってるね」

すると彼は再び

ぽぽぽぽと音でも立ち上げそうなほど

わかりやすく赤面するので、

私は笑ってしまう。

重ね合った互いの手の薬指では

なんでもないお揃いの指輪が

音を立てて擦れた。