いとなゆびかになつかしく/7 ページ31
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「 ____ってな感じで、報告は以上になります 」
「 成程。うん、実に良い働きをしてくれたね。お陰で沢山情報が手に入った 」
昼下がり、首領室。
銃撃事件の次の朝無事に下船した私たちは首領に呼び出され、こうして報告をしていた。そして、未だ中也とはあまり話せていない現状である。
「 幸い、あの船には政府のお偉いさんや裏社会の人間、更には異能特務課まで乗っていたものでね、色々と機密事項もあるそうだから警察の介入は無いみたいだけど 」
「 ええっ、それじゃあ私を撃とうとした人も刑事罰には問われないんですか 」
「 そうしたら君の所業も洗われて同時に逮捕だろう? 」
「 くそう 」
唇を噛み締める私の横で、中也は急いで作った資料を何ページか捲り首領の机の上に差し出した。
「 これが三島の資料です。少ないですが、Aがフョードルから聞き出したことも合わせました 」
「 わあ中也くんAくん、ご苦労さま。時間も無かっただろうに 」
そう、何を隠そうこの資料、下船してから呼び出されるまでに、一息付く間もなくエナジードリンクをキメて完成させたものである。思えばここからおかしかったと云えるが、乗船のタイミングで外との通信手段は全て取り上げられたのだ。船上で資料を作ることも出来なかった私たちに休む時間なんてなかった。
「 うん、もう下がっていいよ 」
おかげで、中也の機嫌はとってもとっても悪いのです。
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「 やっと終わった……おい、呑むぞ 」
「 はあ!?まだお昼だよ中也っ、夜には中也もう私の手に負えなくなっちゃうって! 」
「 早く帰って呑むぞッて約束したじゃねえか! 」
「 わー中也くん拗ねてるんですかあ!子供ですねえ、そんな子供がお酒なんて呑んで大丈夫ですかー? 」
少し、否、大分上司を煽っていると何時もの重圧感。確実に私の身長は縮んでいる。
「 五月蝿ェんだよ、教授眼鏡からチョーカー貰った癖に 」
「 はあ!?……もう、中也の莫迦、莫ァー迦!最低!クズ!不倫! 」
「 最後のは完全に違うだろ 」
掴み合い(中也が一方的に私の頭を掴んでいるだけ)の喧嘩になる。チョーカーのこと、中也がそう思ってるなら別にいいけど。本当のことを思い出すまで、意地でも云ってやらないのだ。
「 ちょっ、離して! 」
「 あーほんと可愛くねェ、まあそんな部下も力では俺には勝てねェもんなァ? 」
「 離してってば!じゃないと中也の恥ずかしい秘密100個太宰にばらす! 」
「 はァ!? 」
「 やーい引っかかったー!一寸の間家出するから探さないでください! 」
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ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます!とても励みになります!これからもどうぞよろしくお願い致します! (2020年1月24日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります!更新頑張ってください! (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねむい | 作者ホームページ:
作成日時:2020年1月19日 23時