いとなゆびかになつかしく／２ ページ26
,
「 これで最後？ 」
「 ああ 」
「 そっか、収穫はあんまりなかったねえ。首領に怒られちゃいそう 」
「 だからこそ、今夜に懸かってるンだろうが。早く帰って美味い葡萄酒でも呑もうぜ 」
「おまけに転職先も見つからなかった……あ、そうだ、バーテンダーとかどうかな？マスターに声掛けてみよっかな 」
テメェには向いてねえ、なんて中也が手を差し出してきたので、それを握ってベッドから立ち上がる。明日には下船する為最後の立食パーティー、初日のドレスが黒であったために、最終日も黒を着ることにした。首領曰く、私にはとても黒が合うらしい。
好きな色だから、一寸うれしいな。
,
「 フョードルくんたち、今回私達の命を狙っている人とは関係が無いんだって。三島は先ず、この船に乗っていない ｣
「 おい、A。三島って名前が裏社会で有名になったの、何時だ 」
「 聞いてるー？まあ良いけど……確か、“竜頭抗争”あたり？ 」
「 ……なぁ、本当にそんな奴、 」
「 うわっ！そっ、ソーリー！ 」
会場に差しかかろうかという寸前、中也が何か云いかけて。それと同時に私は、大柄の外国人とぶつかった。
＿＿＿＿待って、待って、一寸待って。
「 今の人、どっかで……！ 」
「 A……彼奴、
「 かなり下っ端の…名前は忘れたけど、首領に全員分覚えさせられた。その中に、居た気がする！ 」
男を追って会場内に入ると、矢っ張り喧騒。ヨコハマ停泊前日だからか、何時もより人はたくさんいた。隣で舌打ちが聞こえる。こんなの、ゲームオーバーとほぼ同じ。
「 何で行く 」
「 ここは21か43だろ 」
「 どっちも向いてない。あー、やっぱコードネームって数字だと解りにくい。太宰と中也がなんか厨二病くさい名前使ってたのって、そういう意図？」
「 五月蝿ェ、で、どうすんだよ 」
「 地道に探すしかないよね、こういうとき。木を隠すなら森の中って云うじゃん？ああいう人は静かなところよりも、こういう所に紛れたいだろうから。この会場から出さないように出口を警戒しながら、捜す 」
(そして、私は同時に、チョーカーを探す。)
出口付近で二手に別れるよう方向を指し示す。この船内にあるのならば、何としても明日までに見つけなければ。
「 A 」
中也が、振り返って私の名前を呼ぶ。なに、なんて声が上擦って。普通に出来ていなかったのだろうか。
「 ＿＿首、チョーカー、どうした 」
矢っ張り、ばれていたか。
,
いとなゆびかになつかしく／３→←いとなゆびかになつかしく／１
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 29人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます！とても励みになります！これからもどうぞよろしくお願い致します！ (2020年1月24日 23時) (
レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります！更新頑張ってください！ (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月19日 23時
