いとなゆびかになつかしく／１ ページ25
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荒い息を繰り返して、つうと流れる涙がカーペットに染み込む。心臓の鐘が何時もより早く打ち鳴らされている。
「 はあっ、は、おだ、さく……！ 」
鼻を啜りながら、身を丸くした。何だかとても寒くて、彼を思い出してしまうと切なく暖かくて、息が整わない。思わず自分の首を掴んで、チョーカーがない事にまた、身を縮める。
「 ここ…… 」
端末が指の3センチ程先に転がっている。そうだ、チョーカーを探しながら太宰と通話をしていて＿＿ロック画面には何件もの太宰からの着信履歴が映し出されている。
まだ
「 催眠ガス、若しくは……異能？ 」
急にぷっつりと途切れた意識、この部屋に入ってからはっきりとしない記憶。そう考えて、その2つのどちらかだろう。
＿＿＿＿「 後者です 」
「 うわっ 」
「 気持ち良さそうに寝ていると思ったら、急に涙が零れて。中々面白いものを見せて貰いました 」
「 ……泣いてません 」
部屋の隅から現れたのは、魔人、フョードル＝ドストエフスキーである。本当何処からでも現れるな。
意地悪そうに口角を上げて、しゃがんで目線を合わせてくる。つくづく思う、とても顔が良い。
「 サラッと流しちゃったけど、異能者って？ 」
「 詳しくはぼくにも解りません。然し貴女方、命を狙われているでしょう？ 」
「 フョードルくんが、フョードルくんと三島が首謀者じゃあ、ないんですか 」
ミシマ、なんて小さく呟くと、彼は少し考えるような素振りを見せた。体勢を立直して正座をして、フョードルくんと向き合う迄、彼は何かを考えていた。
「 それは違います。抑も、Aくんの相棒が三島くんを探しているようですが、彼はこの船には乗っていません 」
「 え 」
「 この船には、ぼくだけです。それに＿＿＿＿ 」
「 な、なんですか 」
フョードルくんがぐ、と思い切り、触れるか触れないかくらいまで顔を近づけてくる。思わず仰け反った。太宰に「 フョードルに触れてはいけない 」と云われていたからである。
「 Aくんに死なれては、困るんですよ 」
「 な、 」
「 その夜の底のような＿＿貴方の瞳はとても綺麗です。綺麗すぎて、光さえ逃げ出してしまう 」
「 口説いてるんですか、貶してるんですか 」
彼の瞳孔が迷うように揺れる。鏡で見る自分の瞳と似ているような、気がした。
「 大事なものなんでしょう、ぼくも探します 」
「 ふょ、フョードルくんいい人じゃん…… 」
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ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます！とても励みになります！これからもどうぞよろしくお願い致します！ (2020年1月24日 23時) (
レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります！更新頑張ってください！ (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねむい | 作者ホームページ：
作成日時：2020年1月19日 23時
