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マスカレヰド!/1 ページ13

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はあ、と荒い息を整えて、中也の手を握ったまま座り込む。
男が向かって来たとき身体が固まって動かなくなってしまって、彼が出してくれた掌を決死の思いで掴んで駆け出した。


「 大丈夫か、A 」

「 …御免、油断した 」

「 ッたく、太宰の悪戯みてェに狡猾で芸術的で居やがる……掌で躍らされてる感が拭えねえから胸糞悪い 」


詰り、先程の男がどんな感情で向かってきたのか分からないことに、中也は舌打ちをしている。例えばさっきの露西亜人が“彼奴らを殺せ”と云ったとして、私達が逃げるのは男からしても妥当。

けれど__例えば露西亜人が“船内に怪しい者が居るようですねえ”なんてことを云ったとして、唯男が近付いただけで逃げ出した私達は確実に其の怪しい者(、、、、)である。あの人が他の人にも伝えたとして、今頃はウイルス見たいに広がっているかもしれない。


「 中也、これからは出来るだけ別で行動しようか 」

「 ……テメェ、大丈夫か 」

「 大丈夫大丈夫、別の方が色々と探りやすいし、相手からすれば標的(ターゲット)も分散される 」


「 __なら、夜はちゃんと帰ってこい。確り寝ろ。上司命令だからな? 」


一寸泣きそうになってしまった。握っていた手を離して、少し微笑んだ。夜のパーティーが始まる前に、着替えなければ。今日は深海みたいな深い碧のドレス。首領は中々お洒落なのを選んでくれた。


「 さて 」


接触を、図るとしようか。

露西亜人が顔を見せたということは、私達がまだ見ていないのは“三島”の方である。先ずはその露西亜人、ドストエフスキーと接触を図り首領に情報を持って帰る。それから、三島についても聞き出す。


「 ……あれ? 」


__三島が“都内の病院に入院している”と云ったのは、太宰だ。若し、若しも太宰があちら側(、、、、)だったのなら……


「 うえっ 」


気持ち悪くなって来た。太宰まで敵に回してしまったら、流石に勝ち目なんて最初から消滅している。


____「 大丈夫ですか、お嬢さん 」

「 っ! 」


差し伸べられた手に、振り向くと。
その端正な顔立ちに、その紳士の様な態度に、その指先に。自分の感情が解らなくなるような驚きに、どんな名前を付ければ良いのだろうか。

痛い程の笑顔に、小さく絶望した。
ああ、少しだけ思い出したような気がする。

その手で、私の大切な人を殺したんだね、たぶん。


「 大丈夫じゃあ、ないかも 」


ニヤリ、妖しく笑って、ついてこいと云わんばかりの足音を追いかける。



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ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます!とても励みになります!これからもどうぞよろしくお願い致します! (2020年1月24日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります!更新頑張ってください! (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年1月19日 23時

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