検索窓
今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:11,493 hit

マスカレヰド!/2 ページ14

,


「 糞ッ、開かねえ……! 」


その頃中原は、絶賛閉じ込められ中であった。
話は川端と別れたすぐ後に遡る。



,



「 ……なんだ、これ 」


中原は、空いた客室をひとつずつ調べていた。
川端がドストエフスキーに接触しようと考える何てことは、長年一緒に居るのだから解っていたのだ。

ならば、自分は三島について探ろう。話に聞いたところ、川端は三島と何か深い因縁がある。何があったのかについては、川端は何も覚えていないそうだ。1番気になるのは三島の事なのに、外堀から埋めていこうとする所が如何にも彼女らしい。

__必ず彼らが潜んでいる部屋がある筈だ。地道に一部屋ずつ調べていく作業は、普段荒事ばかりの中原にとってかなり慣れない事だった。


「 三島の、正規書類…… 」


空いた客室のゴミ箱に、散り散りになって捨てられていたそれ(、、)は、太宰が川端を介してポートマフィアに持ち込んだ書類とは全く別のものだった。経歴から家族構成まで、全く別の人生で、オマケに異能の内容まで違う。


( 若し、太宰があちら側(、、、、、、、)だって云う想定が、中ッていたとしたら )

彼女には云えなかった。太宰を信じきっている__否、太宰を信じたいであろう彼女には、万が一の時の為に自分がした最低の想定を話せなかった。


「 そんな面倒臭ェことになって、たまるか 」


刹那、ガチャリという音が響き渡って、中原は足の先から全身が冷えていくのを感じた。振り向いてドアの引手が少しずつ上がるのが見える。


( 真逆、最初から此処に閉じ込める心算で、誘き寄せるようにこの書類を__ )


嗚呼、今の時代カードキーではない扉。入るのが簡単なら、閉めるのも簡単であった。自分が気が付く事に相手も気が付かない訳が無い。裏を読んだ方が、勝ちなのだ。


そして、話は振り出しに戻る。
掌で躍らされている感じが拭えず、とても不快である。中原は、酷く苛苛して扉を殴りつけた。響かない低音に防音加工、つくづく用意周到である。

書類を丁寧に折り畳み、ポケットにしまい込んでベッドの上に深く腰を下ろした。


「 おい。どっから見てんのか知らねェが、俺は殺されねェ。彼奴も、俺が殺させねェよ 」


そう、ハッキリと口に出してから、中原はポケットの中に手を収め、立ち上がった。扉の前まで歩み寄るのに、飛ばないようにと帽子を片手で押さえる。


「 ……普通に出る(、、、、、)の、諦めるか 」


呟くと、中原は扉を蹴り飛ばした。



,

マスカレヰド!/3→←マスカレヰド!/1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ねむい(プロフ) - kuroさん» こんにちは、本当にありがとうございます!とても励みになります!これからもどうぞよろしくお願い致します! (2020年1月24日 23時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
kuro(プロフ) - この先の展開がとても気になります!更新頑張ってください! (2020年1月24日 8時) (レス) id: f9572c4e12 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ねむい | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年1月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。