【あんスタ】また明日ね、ニュクス【合作短編集】 (ページ27)

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夢の中に閉じ込めて/斎宮宗ページ27

同棲生活を始めて一週間経った。それなのに、リビングには必要最低限のものしかない。それは彼と私の趣味趣向の違いからで、それぞれの部屋は自分たちの好みで作り上げている。でも、私はこの部屋が一番心地よく感じる。

ガラス張りが特徴のこの家はいつも外の世界はカーテンに隠されていて見えない。たとえ、私は朝が来てもそのカーテンは開けたことがない。

そんな質素な家で、私たちは黙々と服に刺繍を施したり、衣装を作成していた。アイドルであるというのに関わらず、彼は不思議なことに衣装は自分で作り上げる。プロが作り上げた衣装よりも繊細で素敵だから、彼はそちらが本職なのではと疑ってしまう。

ある程度縫い終え、彼をちらりと見る。さっきは真剣に衣装を作っていて、視線すら交わらなかったが、ひと段落ついたところだったのか、今回は交わった。なんだと言いたげの視線を寄越してきた。

「ん～、なんて言うかさ、ずっと不思議に思ってたんだけど、なんで私、宗が好きなんだろうね？」

「.....知るわけがないだろう。そんなことより、手を動かしたまえ。話しながらでは縫い目が荒くなる」

「宗のおかげで、裁縫は上手くなったし、それくらいで縫い目は荒くならないよ！」

ほらほらと縫ったところを見せると、宗は口を閉じた。ドヤ顔したら、鋭利な瞳で睨まれてしまったのですごすごと縫う作業に戻る。結構長い付き合いではあるけど、宗に睨まれるのは苦手だ。怖いとは思わないけど。

「でね、私ねなぜ宗が好きなのか考えて分かったんですよ」

「.....まだ続けるのか」

そう言いながらも、宗が次の私の言葉を待ってくれてるようだ。宗は性格はきついけど、本当は優しい。
口元が少し緩いのは私が褒めてくれると思ってるのか。なんか可愛いな。その期待全力で裏切るけど。