【瀬名泉】君を忘れる約束【月永レオ】 (ページ14)

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追想ページ14

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「どうする？今ならまだやり直せるけど」

「せっ、瀬名」

「あんたの転科の書類、ひとつだけ判子押してないところがあったんだって。それで保留ってことになってるけど」

そんな、嘘だ。
私全部何回も見て確認して、漏れがないようにしたのに。絶対に転科できるように。

もうこれ以上、瀬名に悲しい思いをさせないように。

転科して、別れるつもりだった。アイドルと一般人は付き合えないって、もっともらしい理由をつけて。

「そんな……… 」

「そういうことだけど。俺はもうあんたみたいなおバカちゃんには付き合ってられない。」

瀬名が、痛いほどに綺麗な顔で笑った。
私、付き合ってる間に彼にこんな顔させられたこと一度もなかった。

「 __________だから、俺と別れて」

「ごめっ、ごめんなさい、ごめんっ……… 」

「はぁ？何泣いてんの、俺はあんたに幸せにして貰わなくても勝手に幸せになるから大丈夫だってば。………ほられおくん、何さっきからぼーっとしてんの」

ごめん、何も瀬名のこと考えられてなかった。瀬名を悲しませてしまった。全部私が悪かったのに。「幸せにして貰わなくてもいい」という言葉で、力が抜けてしまって。

「遠慮なんてあんたらしくないでしょぉ。ほら、さっさと行きな」

「ごめんセナっ！」

「ごめんじゃなくてありがとうの間違い」

ぐんと手を引っ張られて、青空がやけに眩しかった。

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「瀬名くん、すごいね」

「何、全部見てたの？……それとも“Aの転科書類を保留にしてもらってたこと”のお礼を、もう取り上げにきたの？」

「お礼なんていらないよ。あの子はいい話し相手だから、僕も手放したくなかったし。好都合だったかな、逆に。」

「 ……ふふ。そりゃよかった。この選択がいつかあいつの幸せに繋がるなら、俺は何も望めないしねぇ」

「瀬名くんって案外一途だよねぇ」

「うるさい。ゆうくんのことも知ってるなら、“案外”じゃないんじゃないの？…むかし、俺は大事なものを沢山取り零してしまったから……あいつのことだけは、絶対に大切にしなきゃって思ってた」

「知ってるけどね。君の口から、その言葉が聞きたかったんだよ、僕」

「ほんといい性格してるよねぇ。……俺は、あいつを大切にした結果こうなったなら、物語がハッピーエンドなら…俺が主人公じゃなくても、あいつの幸せにちょっとでも繋がるなら、この手で幸せにできなくても構わない」

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