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12 .感情( 1/2 ) ページ20



わたしは、いつからこうしているだろう。

手足を縛られ、口も塞がれ、
身動きをとることも、言葉を発することも、
全ての自由を奪われてから
どれくらいの時が経ったのだろう。

視界が歪み続けている。
絶えずわたしは、涙を流していた。
それしか出来なかった。

それももう時期、乾ききってしまいそうだ。



赤「 A ?いないのか ?」

『 !! 』



声の主が誰かなんて、すぐにわかった。

赤司くん。

窓に擦り寄ろうとするわたしを
めいいっぱい睨みつけてから悪女は言った。



母「 どちら様 ?」

『 赤司征十郎だ。Aに会いたいんだが… 』

母「 あら、へえ 」



そのとき、悪女の顔がかすかに歪み、
極悪の笑みを浮かべたのを見た。

赤司くんが危ない。

そう思い悪女に訴えかけるが、まるで意味がない。

わたしを足で跳ね除けながら、
悪女はまた口を開いた。



母「 悪いけど、うちの娘は外には出られないし、この場所を知られるわけにはいかないのよ。だからもう、ここに来ないでくれるかしら 」

赤「 ……それを決める権利はAにある。今すぐにAを解放しろ 」

母「 あらら、随分の達者な口をきく人とお知り合いになったのね。だからあんたも生意気になったわけか。…ふうん、なるほどねえ 」



そう言うと、悪女はわたしの口を解いた。



『 …っ、なんのつもり ?』

母「 あんたはどうやら、あの青年に助け出されたようだし、一瞬でも夢を見させてくれた感謝の気持ちでも伝えれば ?…最期の言葉と一緒に、ね ?」

『 なに言って… 』

母「 どうせあんたは、誘拐されたときから実の母親の子供としては死んだことになってるの。殺したって、問題ないわけ。…そして彼は、その秘密を知ってしまっている。このまま生かしておくなんて、出来るわけないわ 」



わたしも、彼も、ここで終わるのだと思った。
わたしのせいで、赤司くんまで…



『 やめて、彼は関係ない !』

母「 へえ ?自分も死ぬのに彼のこと ?馬鹿じゃないの ?まあいいわ、とっとと終わらせて ?」



そう言って悪女は、巻き付けた縄を切り裂き、
大声で話されると面倒だから、と
わたしに糸電話を手渡した。

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作者名:陽茉理 | 作成日時:2017年8月10日 16時

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