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11 .真実( 1/2 ) ページ19

母「 ……愛し合ってる彼と生活するために、多額のお金が必要だったの。だから国からの支援金制度を利用してお金を手に入れようと思っていたけど、もちろん、私は特別貧乏ってわけでもないし、貰う対象外だったわ。だけど、子供がいる家庭なら、子育て支援金としての審査が通る。そのための子供が必要だったの。でもあいにく、私には子供がいない。彼とはまだ結婚はしていないし、妊娠もしていない。そんなとき、公園で遊んでいたあなたを見つけたわ。そこから私は戸籍を変えて、もう1度審査書を出した。するとまあ、案外甘い審査で、いとも簡単に通ったわ。あなたのおかげでね。だからあなたには、感謝しているの 」



お母さんは満足気な表情で、
とんでもないことを言い放った。

それはあまりにも、大きすぎる衝撃だった。



『 …それはつまり、わたしを誘拐したってこと ?』

母「 あら、物分りはいいのね。そうよ。だから外に出歩かれると困るの。あなたの存在が実親に知られたら、私と彼の計画と生活は丸潰れってわけ、わかるでしょう ?」



悲しさも悔しさも怒りも超えたこの感情は、
なんと言えばいいのだろう。

約束なんて、できるわけがない。



『 最っ低… 』



やっとのことで言い放った言葉を、
心どころか、耳にすら入れてくれない悪女。



母「 さあて、事情は話したわ。約束通り、もう二度と外には出さないわ 」

『 そんな理由聞かされて、黙ってここにいるとでも思ってるの ?』

母「 あんたが言ったんでしょう ?事情を話したら言いつけを守るって。また約束を破るつもり ?」

『 あなたみたいな最低な人の言いなりになんて、絶対にならない 』




強気で言ったわたしに、悪女が近づく。
そこにはもう、母親としての優しさなど、
微塵も残っていなかった。

そもそも、存在すらしていなかったのだ。



母「 今更あんたになにが出来るっていうの ?逃げられるとでも思ったわけ ?」

『 は、離してっ !』

母「 _____無理よ 」



耳元で恐ろしい笑みを浮かべながら
そう言った声は、まるで悪魔のようだった。



『 たす、…けて…………… 』



なによりも残酷だったのは、
危険から守ってくれるはずの偽りだった。

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作者名:陽茉理 | 作成日時:2017年8月10日 16時

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