宣戦布告37 ページ38
程なく《月山家討伐作戦》の決行が捜査官全体に報じられた。
キジマ「ホッホ…Aさんは我々とは別行動になりそうですね」
『はい』
私の担当は戦場となるビルの丁度真ん中辺りにある大広間。
捜査官達の追っ手を逃れるべく集まった喰種らを一掃する、という感じらしい。
キジマさんと旧多さんはビル上層にて交戦予定だという。
こういう戦闘において、フロアは上に上がれば上がる程《危険》になる。
つまり上層ほどレートが上の喰種が跳梁跋扈している、という事だ。
私は下っ端捜査官として…でも有馬の名の影響でまぁまぁ荒れる中間層を受け持つ。
他の捜査官方と共に。
『…あ、先輩』
書類を見れば、何とハイル先輩の班は旧多さん達と一緒に行動するという。
良いなぁ、あーあ…私だけ違う場所なんだ。
少しだけ寂しいな、とか思ってみたり。
人材割り振りを見る限り、不知たちQs班とも私は離れてしまっていた。
旧多「大丈夫なんですかキジマさん、Aさんだけ別なんて…」
キジマさんの前では猫を被っている旧多さんが進言するも、キジマさんは泰然自若。
キジマ「Aさんの力量なら平気でしょう」
旧多「なら良いんですけど…」
顔では心配げな雰囲気を醸し出している旧多さんだが、実際はきっと何とも感じていない…と思う。
精々《死なれたら後処理が面倒》ぐらいのもんだ。
『…』
一週間後に控えた駆逐戦の資料をファイリングしつつ、私は暫し目を閉じる。
────思い返すのは雪辱のオークション戦。
もう二度と軽率な真似はしない。
絶対に、何があっても。
自分の浅はかな思慮で他者を傷つけるぐらいなら、私が犠牲になる。
そのぐらいの覚悟無しに捜査官は務まらない…
旧多「…さん、Aさん?」
『あ…はい!』
思い詰め過ぎて周りがフェードアウトしてしまい、旧多さんの呼びかけに意識を引き戻される。
旧多さんは私の耳元に口を寄せ、低い声で囁いた。
旧多「…考え過ぎは良くありませんよ」
旧多さんらしくなく本気の気遣いを滲ませている声に、しかし私は力強く頷いた。
『同じ轍は踏みません』
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みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう!(笑)閲読有難うございます〜! (2019年1月23日 19時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ハァハァ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです!尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です! (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます!2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年12月16日 18時