僭越ながら上官様、宣戦布告させて頂きます

宣戦布告３６ ページ37

ハイル「A〜」

『え？…あ、先輩！』


《囮捜査》翌日、何だか寝付けず早めに出勤した私はいきなり玄関口で呼び止められた。



ハイル先輩だ。






『お疲れ様です！その、お怪我とかは…！』

ハイル「うふふ、ありがと。でも平気やよ」






不躾ながら昨夜の件を問い質すと明るい笑顔が《戦果》を遠回しに物語ってくれる。


どうやら作戦はそこそこ上手く行ったらしい。






ハイル「でも《ロゼ》捕まえた手柄、キジマに横取りされたんよ！納得行かない…」


『うーん、それは確かに悔しいかも』





先輩曰く、自分が追い詰めた喰種の功績をキジマさんに持って行かれたのが不服だそうだ。



『キジマさん意外とちゃっかりしてんのかな…』



そう思うと無性にキジマさんと【笑ゥせぇ〇すまん】がダブってしまい、図らずも笑いそうになった。

いつか【ドーン！！！】ってやってくんないかな。
噴き出して死ぬ自信がある。





アホ丸出しなことを考えていた時だった。





ハイル「ザンネン旧多は面白かったけど」

『はい？』




ハイル先輩が平然と謎ワードを言ったのは。




『面白かった？』





眉を顰めた私にハイル先輩は飄々と暴露する。







ハイル「襲われる《エサ》役やったんよ」








そう言って先輩は徐ろに前髪をガッと無理やりサイドに分け、









ハイル「[あンのくそじょうひィ〜]…って感じやった」









『ふっ…！』




先輩、渾身のモノマネ。

強引に髪型を似せて、酔っぱらいのような動きをしながら声まで真似するハイル先輩には腹筋が白旗を上げた。







『あははははは！な、何ですかそれ！』

ハイル「だから旧多の真似〜♪どや、キモいやしょ？」

『ぶ、不気味なんですけど！！！』








…運の悪い事に、実はこの時、旧多さんは少し離れた所からこの一幕を見ていたらしい。









ハイル先輩と別れてオフィスに入ってから、





『おはようございます旧多さ…』

旧多「…朝から、随分と楽しそうでしたねぇ…Aさん…？」

『げっ！』









旧多「こちとら渋々エサ役買って出てやったっつーのに、命懸けの上官笑うとは何様なんですか？えぇ？性格の悪さまでキッショーさん譲りですかぁ？」


『すみませんでしたー…』









私が旧多さんにこってり絞られたのは言うまでもない。

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