宣戦布告19 ページ20
《有馬貴将 side》
旧多キッショーさん助けて!
旧多ちょっとヤバい
有馬「…珍しいな」
掃討戦に区切りが着き、ハイセを医療班に引き渡した後。
俺の元にニムラから通知が送られて来た。
文面のノリは軽いが、あいつから助けを乞うような文面が送られて来るのは初めてだ。
それに○×エリアと言えばAが…娘がニムラと共に受け持っていた区画ではなかったか。
有馬「…何だろう」
焦燥感に追い立てられつつ手近な部下に「現場を確認して来る」と告げ、俺は捜査官の一団から離脱して指定場所へ急ぐ。
ニムラはともかく、Aは純粋な人間だ。
人間は簡単に死ぬ。
俺達よりも遥かに呆気なく。
Aが怪我をしていたらどうしよう?と不安ばかり先行し、苛立ちすら覚えた。
だが現場に着いてすぐ、俺は事態が思ったより厄介な事になっているのを悟る。
有馬「…A」
『あ、りま、さん』
無惨な死屍累々の中に、Aは座り込んでいた。
血塗れのニムラ───Aには見えない角度で俺に向かってウインクをしている───を、かき抱いた状態で。
『どうしよう、有馬さんっ…旧多一等が、私のせいで、私が』
有馬「うん、落ち着いてA」
『旧多一等が死んじゃう、嫌だ、ごめんなさい…私があんな、あぁ…そんな』
有馬「大丈夫。ニムラはそんなにやわじゃないよ」
泣き濡れ、虚ろな目で支離滅裂な言葉を放つAの姿は哀れで、そして同時に妙な既視感をもたらす。
喰種を屠り、両親の亡骸の前で立ち尽くしていたAと。
今のAはあの日、俺と出逢った日のAにそっくりだった。
旧多「…」
自分を抱いて泣き続ける部下にニムラは気まずげな顔。
どうせ《本当は傷なんて塞がってるけど、元気な素振りを見せたら正体がバレるから重傷者のフリをしている》のだろう。
しかし予想以上にAの精神には負担がかかっていて、かと言って今更元気だと公表する訳にも当然行かず。
引っ込みがつかなくなった、といったところか。
有馬「医療班に任せれば平気だ。ほら、後は俺が」
『…』
仕方がないから俺は一役買ってやる事にし、内心溜め息でAからニムラの身柄を引き取る。
…同じ男とは思えないぐらい軽い。
同族を荷物のように抱え込んで歩き始め、Aと距離が出来たところでようやくニムラは口を開いた。
旧多「…すみませんねぇ、お手数お掛けしまして」
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みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう!(笑)閲読有難うございます〜! (2019年1月23日 19時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ハァハァ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです!尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です! (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます!2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みきざわ | 作成日時:2018年12月16日 18時