宣戦布告１８ ページ19
刀を握る手が震え…照準が揺らぐ。
一瞬の隙が、出来た。
致命的な隙が。
喰種「…だから死ね！クソガキィィィィィ！！！！」
終わった、と思った。
ガィン！と音がして気付いたら手の内にあったクインケが弾かれていて、眼前には赫眼を剥き出しにした喰種が私へ鱗赫を伸ばしていて。
『あ』
死ぬかも。いや死ぬな、私は。確実に。
一拍後には首が跳ね飛ぶか、串刺しにされるか…いずれにせよ綺麗な死に方は無理だろう。
ごめんなさい、有馬さん。
私…義父の顔に泥塗っちゃうな。
死への恐怖も哀しみも感じる余地無く、私はただひと握りの悔しさ…そして父への申し訳なさを胸に、冥府の門を叩こうとした。
だが私が口惜しさに唇を噛んだ時、視界の端で黒い影が動いた。
…どん、と体に横殴りの強い衝撃。
『痛っ！？』
予想外の展開に私はよろめくどころかぶっ飛ばされ、地面に顔面からスライディングをかまし数ｍ転がる。
デコは確実に擦りむけた。
鼻からも何かが流れている。
『な、何…！？』
鼻から大流血しながら体勢を立て直して飛び起きた私が見たのは、
一寸前まで私が立っていた場所にいる旧多一等の背中を、喰種の赫子が袈裟懸けに薙ぎ払う光景だった。
黒いロングコートの背から噴き上がる血飛沫。
旧多「ぐ、ぅ…！」
体を仰け反らせ、苦痛に顔を歪める旧多一等。
低い呻きと共に鮮血が唇から零れ落ちた。
喰種「あァ！？誰だ…おぶッッ」
驚いた喰種の顔面に刺さるクインケ。
どうと倒れた喰種は血と脳漿を撒き散らせて事切れる。
深手を負いながら喰種を駆逐した旧多一等はクインケを振って遺骸を放り捨て、鞘に刀身を仕舞い…そこで力尽きた。
旧多「…」
──────どさり
うつ伏せに斃れた上官は二、三度肉体に痙攣を生じさせた後、動かなくなる。
その一連を私は、茫然と傍観していた。
私を、庇ったの？
状況からして旧多一等が私を突き飛ばし、代わりに喰種の刃を受けたのは明白。
何が起きたか本当は理解っていて、でも心が理解を頑なに拒んでいた。
『うそ…やだ、旧多一等』
がたがたと身体が否応無しに震え出す。
…上官の背からはとめどなく血が溢れ、見る間に地面を朱色に染め上げて行く。
血液臭と共に、濃厚な【死】の気配が旧多一等の周囲に立ちこめていた。
それからの事は憶えていない。
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みきざわ(プロフ) - あずまさん» 鼻血どんどん出しましょう！(笑)閲読有難うございます〜！ (2019年1月23日 19時) (
レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
あずま(プロフ) - あぁ…やばい、、、鼻血でるぅ(;´Д`)ﾊｧﾊｧ (2019年1月23日 15時) (レス) id: 97c5686003 (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - えぬ=)さん» ニムラの魅力、少しでもお伝え出来ているのなら幸いです！尊敬だなんてそんな、勿体ない(笑) 嬉しいお言葉、恐縮です！ (2019年1月21日 5時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
えぬ=)(プロフ) - ああ……溶けちゃいそうです……← 本当に最高です……前作からずっと思ってたけど最高です……尊敬してます……!何故そんなににむにむの魅力を素晴らしいクオリティで書けるのか……尊敬してます(二回目) (2019年1月21日 0時) (レス) id: ae2a3cb03d (このIDを非表示/違反報告)
みきざわ(プロフ) - ハニーさん» 謹んで新年のお慶びを申し上げます！2019年がハニー様の良き年になる事を願っております... (2019年1月1日 0時) (レス) id: d7c1dbf7e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みきざわ | 作成日時：2018年12月16日 18時
