笑 門 来 福【HQ】【山口忠】【月島蛍】

べつに、怒らせるつもりなんてなかったのに。 ページ19

月島side



溝口さんの印象はThe普通の子。


強いて言うなら、彼女の親友が他学年でも知ってるほど美人で、僕の好きな人。


クラスも違うし、部活も女バレとは滅多に会わないからほんとにたまにしか喋らない。


そのたまに喋るのだって、舞の話だし。


で、今日何故かいきなりこっちの練習に参加することになってて、


リベロだし、レシーブ上手いのかなーとかしか思ってなかった。


彼女は背が高い訳でもないのに、男子のネットにボールをかけることなくスパイクを打ってたし、


変人速攻も綺麗に上げたりしてて、正直普通じゃないって思った。


どちらかといえば王様に近いような。


才能がある人はやっぱり違うんだなって思ってた。


だから試合が終わったあと、王様に喋りかけるような感じで少しからかいに言った。


いつも笑ってる彼女がイラッとした顔を見てみたかったって言うのもある。


そうしたら、怒らせてしまった。


僕はその場から動けなかった。


怒らなさそうな人が怒るとこれほどまでに衝撃が走るのか…


山口は溝口さんを追いかけて外に出ていった。


そしてコーチが何故か僕に謝ってきた。


「あいつ、“”笑顔“”に関して言われることとかにすごく敏感なんだ。だから、もうあんまりそういうことを言わないであげてくれ。」


「なんで敏感なんですか」


理由がわからないのにやめろと言われても辞める気になれないのが僕だ。


「…たっく、しょーがねーな。お前らは1年だし、これから長く付き合っていくだろうから教える。だが、生半可な気持ちでは聞かせられない。」


「教えて欲しい…です。」


「わかった。じゃあ日向、影山もこい。一緒に教えるから。」

昔話。→←器用で不器用な子。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す