ありがとうの言葉さえ… (ページ3)

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二話ページ3

季節は巡って…春。

高校に合格した私は、桜坂高校…元いた県を離れ、
私を知っている人がいない場所に通うことになった。

桜坂高校というだけ、桜が咲き誇りピンク色のカーペットを敷いている。

桜はいい…。

ハラリ、ハラリと散っては私の頬を撫でてゆく。

スクールバッグを肩にかけ直すと、私は正門をくぐった。

昇降口には［入学おめでとう］の文字があった。

女1「入学おめでとうー」
男1「おめでとう！」

なんなんだ…、話しかけてこないでほしい。

けれど、礼儀は礼儀だ。

私は一礼をして男女の二人の前を通り過ぎて、上履きに履き替えるとさっさとクラスを確認した。

『1－Aか…。』

面接をした会場だなぁと思いながら、早足にクラスに向かい自分の席についた。

ちなみに私の席は一番後ろの窓際だ。

まあまあいい席だった。本を取り出すと読みはじめる。

？「お早う‼あれ？一人しかいないや…」

『お早うございます。』

別に誰も信用なんてしていない。これは礼儀だ。

そう…ただの。

しかし相手はそうではなかったようだった。

？「名前。何ていうの？」

『市川A』

？「そっかAちゃんかー。私は雪！よろしく」

『はい』

彼女…雪はそれから私によく絡んでくるようになっていつしか私も雪と親しくなっていた。

雪「でね！その薄桜鬼ってゲームなんだけど！私は沖田くん推しなんだ。あー斬られたい」

『雪…少し抑えて…？』

雪「Aちゃん！これ貸してあげるよ！」

雪が渡してきたのは数冊の本とゲーム。

うん……雪が言うならやってみようと私は思いありがたくそれを受け取った。

『雪？帰るよ。』

雪「うん！」