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嘴平伊之助さん 壱 ページ3

「A!どこ行った!ここか!?」

ドタバタと走り回り、大声をあげ、草むらをかき分ける彼に後ろから声をかける。

「そんな所にいるわけないでしょ!?伊之助は私のこと虫か何かだと思ってるの!?」
「何だ、そこにいたのか。ならさっさと言え!」
「私が返事をする前に!アンタが!走り回って行ったんでしょうが!!」

ぷんぷんと怒った顔をする伊之助の鼻をぎゅっとつまんでやる。
痛てぇ!と叫ぶ伊之助は無視。

「何すんだ!この伊之助様に喧嘩を売るとはいい度胸してんな!!いいぜ、勝負してやる」
「しない。」
「なんでだよ!!!」

ぎゃーぎゃーと喚く伊之助の額を人差し指で小突いてやる。
ぽかんとした顔で見てくる伊之助はちょっぴり可愛い。

「その腕の傷。今日はまだ包帯替えてないでしょ。
さっさと行くよ」
「こんなもん怪我じゃねえ!」
「どこからどう見たって怪我だよ馬鹿!!!!」
「んだとコラ!!」

ヴーッ!と威嚇して動こうとしない伊之助にため息が漏れる。
傷口が開いたのかじわり、と滲んだ赤にズキリと胸が痛む。

「……伊之助。早く戻ろう。
傷口、開いたでしょ。早く手当しないと」
「こんなもん平気だ!!伊之助様には怪我でもなんでもないんだよ!!!」

痛いはずなのに。
どうして伊之助は自分を大切にしてくれないの。
怪我だらけの伊之助を見て、私はいつも生きた心地がしない。
本当にいつか、伊之助の命がころりとこぼれ落ちてしまいそうで。

「お願い、伊之助……
手当を受けて。」
「なっ、なんだよ…急に静かになりやがって」

私が俯いてしまったからか、狼狽える伊之助。
ぎゅ、と伊之助の指を握って離さない私。
伊之助まで突然静かになって、顔を上げるとムスッとした顔の伊之助。
綺麗な顔が台無し。

「…だーっ!わかったよ、受けりゃあいいんだろ!
だから、めそめそ泣くな!!!いつもみたいに笑え!」

ごちん!とぶつけられた額。
じんじんと痛む私と伊之助の額。
深く美しい翡翠と目が合う。

「痛い、伊之助の馬鹿。もうちょっと加減して」
「テメェ……」
「でもありがと、伊之助。大好き。」

ちゅっと少し赤くなった額にキスをすると、伊之助はピシッ!と固まったあと、顔を真っ赤に染め上げてまた騒ぎ始めた。

「当たり前だ!!ワハハハハ!!俺だからな!
Aのことなんかお見通しだ!」
「伊之助、顔真っ赤だよ」
「うっ、うるせー!!」

嘴平伊之助さん 弐→←竈門炭治郎さん 弐



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三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな!みしろさんの作品大好きです!いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…!あわわ、ありがとうございます…!変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…! (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(?)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ!ありがとうございます…!実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽`) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三色 | 作成日時:2019年6月17日 3時

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