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竈門炭治郎さん 弐 ページ2

そのままゆっくりと顔に手を添えられ、こつんと額を合わせてくる。
見つめてくる眼差しは、柔らかい。

「俺はAが泣く姿をみっともないなんて思わないよ。
ごめんな、いつも悲しい思いをさせてしまって。
今日は部屋で、一緒に過ごそう。」

にこ、と笑った炭治郎くんの顔は、どこか寂しいものだった。
そうだ、彼はそういう人だった。
私ったら、なんてことを。

「ちがう、違うわ炭治郎くん。
ごめんなさい、炭治郎くんと出会ってから…私はとても泣き虫で、甘えん坊になったの」

「炭治郎くんが怪我を増やすたびに泣いてしまうわ。
炭治郎くんが私を抱きしめてくれるたびに泣いてしまうわ。
貴方がとても、優しいから」

ぽたり、と止まったはずの涙がまた溢れて零れる。

「炭治郎くんが大好きだから、とても悲しいと思うの。
けれど……貴方はそれを受け止めてくれる。
めいいっぱい抱きしめてくれて、私を好きだと言ってくれる。」

「私はきっと、炭治郎くんに甘えているのね。
わかってるんだわ、泣いたって、怒ったって
炭治郎くんが私を許してくれることを。
大好きだと言って抱きしめてくれることを。」

「そして、最初にしたずっと約束を守ってくれてる。
ただいま、って。帰ってきてくれること。」

添えられた手に私の手を重ね、ゆっくりと顔を近づける。
ちゅ、と短い口付けをして、顔を真っ赤にした炭治郎くんの手を引く。

「さ、手当をしに行きましょう!
終わったら、私をうんと抱きしめてね。」

ギュッと手を握ってそう言えば、炭治郎くんはまだ頬を赤く染めたまま、笑ってくれた。

「もちろん。
Aを好きになって、俺は幸せだ」

キラキラと眩しい笑顔と、愛の言葉。
私も、と答える前に、優しく口を塞がれた。

嘴平伊之助さん 壱→←竈門炭治郎さん 壱



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三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな!みしろさんの作品大好きです!いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…!あわわ、ありがとうございます…!変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…! (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(?)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ!ありがとうございます…!実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽`) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三色 | 作成日時:2019年6月17日 3時

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