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嘴平伊之助さん 弐 ページ4

雑に両頬を大きな両手で掴まれて、そのままぐいっと引き寄せられる。

ちゅっ。
と一瞬だけ重なる唇。

いつも通り、伊之助の唇は少しだけカサついていた。

ふにっと柔らかいそれはすぐに離れていってしまって、名残惜しい、と感じる。
顔に出てしまっていたのか、伊之助は居心地の悪そうに唇を尖らせて頭をガシガシとかいた。

「手当!!してくれんだろ!」
「え?あ、うん。するけど」

突然の大声に耳が吃驚する。うるさい。
キーンとする耳を押さえていると、腕を掴まれて立たされ、そのまますたすたと歩いていく伊之助に小走りで着いていく。

「ちょ、ちょっと!早い!
どうしたの、」
「手当終わったら!!へ、部屋で、休むぞ」
「!」

伊之助の言う、部屋で休む、は私と一緒に過ごしてくれるという意味らしい。以前知った。

「もう一回だけ口くっつけたら寝る。
この伊之助様の抱き枕になれ!!どうだ、嬉しいだろ!!!」

前を歩いているから伊之助の表情はわからない。
ただ、さわりと吹いた風が伊之助の髪を揺らし、赤くなった耳を見せてくれた。

「うん。しょうがないから抱き枕になってあげる。
伊之助、大好き。」
「……さっきも聞いた。」
「何回でも言いたいの」
「A。早く手当、しろ」


私がそう言うと、握られた手に力が入った。
伊之助は歩く速度をあげて蝶屋敷へと向かった。

甘露寺蜜璃さん 壱→←嘴平伊之助さん 壱



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三色 ─みしき─(プロフ) - 煉獄推しさん» 申し訳ありません。只今リクエストは受け付けていません。 作品を読んでくださりありがとうございます (2021年7月4日 10時) (レス) id: d6f8835509 (このIDを非表示/違反報告)
煉獄推し - リクエストオッケーですか?オッケーなら、返信が来たときに送りたいのですが… (2021年7月2日 18時) (レス) id: c685ed7b70 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» いえいえ、拙いだなんてそんな!みしろさんの作品大好きです!いやいや、私こそ様なんて付けなくていいのですよ…!あわわ、ありがとうございます…!変則的なので不安ですがもそもそ活動していきます…! (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - すいさん» なんと……!!私の拙い文章を読んで下さっていたとは!!有り難き幸せ!!様なんて付けないでください!!むしろ此方が様を付けなければいけないような……(?)すい様のペースで良いのですよ…… (2019年7月4日 2時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - みしろさん» みしろ様 ひょえ〜ッッ!ありがとうございます…!実はこっそりみしろ様の作品を見てましてひっくり返りそうになりました…。ありがとうございます、まったりと更新していきますね(´▽`) (2019年7月4日 2時) (レス) id: ebec16ed5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三色 | 作成日時:2019年6月17日 3時

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