【忍たま】姉は弟になかなか会えない 5

30：一驚と動揺と再会 ページ35

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雑渡が何かの気配を感じ取り目を開けたのと同時刻、泣き疲れて寝ていた伏木蔵の目も開かれた。


「んぅ〜……あれぇ僕寝ちゃってましたかぁ〜？」

「おはよう、伏木蔵くん。どうやらキミのお迎えが来るようだよ」

「お迎え？あ、もしかして伊作先輩ですか！？」


どこです！？と、起きたての伏木蔵はもう既にこの場に伊作がいると思い辺りを見回した。


「……粉もんさん、伊作先輩いないじゃないですかぁ」

「うん、誰も伊作くんが居るって言ってないよ？」

「あれ？そうでしたっけ？」


完全に寝ぼけている伏木蔵に雑渡はため息をついた。しかし彼はまだ子供だし仕方がないかと、今度はもう少し詳しく説明をすることにした。


「んーさっきこっちに誰かが来る気配がしたんだ。伊作くんかどうかまではわからないけど、多分忍術学園の誰かがキミを探しているんだと思うよ」

「おー！！そんなことまでわかるんですか！？」

「キミの先輩や先生方は仲間思いだろ？キミが行方不明になってからもう随分経つのに捜索に出ないわけないだろうなーって」

「粉もんさん、僕達のことよく知ってますねぇ〜」

「そりゃ一応キミ達は敵だからね。敵のことは色々知っておいて損はないよ」

「……スリルとサスペンスゥ〜！」


真正面から雑渡に敵発言されたのにも関わらず、伏木蔵は怖がりもせず相変わらずのスタンスを保っていた。

そんな彼を膝の上に乗せたままの雑渡は、やっぱり伏木蔵くんは変わってるな〜と思うだけで特に気にしていなかった。






「あ、そういえば伏木蔵くん」


しばらく他愛もない話を続け伏木蔵の目がすっかり覚めた頃、雑渡が思い出したかのように声を上げた。


「何ですか？」

「キミの『お姉ちゃん』について教えてくれない？」

「僕のお姉ちゃんについてですか？」


伏木蔵が寝る前に呟いた『お姉ちゃん』という言葉。雑渡はこれに興味を持っていた。ただしそれはどのような人なのか、なんとなく知りたいなぁくらい単純なもので特に深い意味はない。例えるなら、友達の姉が同じ学校にいることを知り、何年何組？ちょっと見に行こうぜ！！と小学生が休み時間に盛り上がるくらいのレベルである。


「良いですよ！何から聞きたいですか！？」


だけどあまりにも簡単に、しかもすごく意欲的に伏木蔵が姉について教えてくれようとしていたので雑渡は意表を突かれた。

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