28-5 ページ22
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その忍者は名前も聞いたことがないくの一だった。だから新人か実力が低い者だと思った。それ故危険視しなくても大丈夫だろうと、今の今まですっかりその存在を忘れていた。
「まさか貴様、ヨイヤミ城に唯一残ったくの一か？」
「やっぱり知ってるじゃないか！それじゃあ大正解の景品をあげよう、か！！」
「ぐぁっ！！」
突如男の右腕に苦無が刺さった。男はその鈍い痛みに思わず飛び退き、そして漸く右隣にいた人物を見た。
漆黒の装束に包まれたくの一という割には高い背。辛うじて身体のラインから女だとわかるが、ぱっと見は男だと勘違いしそうだ。
「どう？ちゃんと痛かったかい？」
そんな人物から発せられたのは、人に苦無を刺した直後だとは思えない程楽しそうな声色。しかしその表情は闇夜に紛れて良く見えない。
ただ一瞬、少し垂れ目がちな大きな目と視線が交わった。
男は獲物を狙う肉食獣のようなその目から逃げたくなった。だができなかった。
視線を外したらその瞬間、死んでしまうのではないかと思ったのだ。
「……チッ」
「ん？うぉっと！！」
だから男は持っていた煙玉を投げつけ逃走を謀った。
なんとか逃走を成功させた男だったが、逃げることに集中しすぎて怪我の手当てをすることを忘れていた。傷が深かったのか手で押さえるだけではなかなか出血は止まらない。
お陰で男が走ってきた道には点々と血の痕が残っていた。
「やばいな……これでは見つかるのも時間の問題か」
「いやもう見つかってますよ〜」
背後から声をかけられ男は飛び跳ねた。あっという間に追いつかれたようだ。
そして(28-4)冒頭に戻る。
再度走り出した男を追いかけてからどれ程経ったのだろうか。Aは苦無を持つ腕を振り上げた。
「ほら！もう届いちゃうぞ〜？」
このまま振り下ろせば確実に届く。
狙われている側の男もそれがわかっているようだった。
でも、
「生憎、俺は悪あがきをするタイプなんでね！！」
振り返りながらそう言った男はポイッと何かを投げた。
「あ！」
「じゃあな！！」
そしてそのまま崖下へと姿を消した。
Aはそこで男を追うことを辞め、投げられた物を拾った。
「まきびし持っているなら煙玉と一緒に使えばいいのにねぇ」
そして振り返り様に拾ったまきびしを木の上に投げつけた。
「あなたもそう思わないか？」
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レオン(プロフ) - 零さん» コメントありがとうございます。続きを更新しました！続編にてご覧ください。 (2022年8月3日 15時) (
レス) id: bc25bf8dca (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです (2022年7月30日 14時) (レス) @page47 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - 小桜さん» コメントありがとうございます！更新を喜んでいただけて嬉しいです！これからも頑張ります！！またご指摘もありがとうございます。訂正いたしました！ (2022年7月5日 21時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - 更新嬉しいですー！ 29-6の夢主さんの説明のところ「高いく」は「高く」ではないでしょうか？ 一応お伝えしときます。これからも無理のない範囲で頑張って下さい！ (2022年7月5日 16時) (レス) @page34 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
レオン(プロフ) - マイさん» コメント、そして応援ありがとうございます！面白い、好みと言っていただけてとても嬉しいです！！これからも頑張りますのでお楽しみいただければ幸いです！ (2022年7月3日 10時) (レス) id: fc3a292471 (このIDを非表示/違反報告)
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