【忍たま】姉は弟になかなか会えない 5

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「チッ！！！」


Aは盛大な舌打ちをかました。くっそアイツ軽々と避けやがって！！いやもちろん避けるとわかっていたし、伏木蔵をしっかり抱えていたことは高ポイントである。だがやはりこう余裕ですけど？って感じで避けられると腹が立つ。ケッ！！！
脳内は未だに荒れまくっているようだが、ふとこの物騒な行為を行うことにした元凶と言っても過言ではない人物を思い出した。


「あー立花くんの気持ちってこんな感じなのか」


そういえば自身も彼から投げられた苦無を軽々と避けた気がする。そのときの彼の顔は悔しさが感じ取れたような……今の私の顔もあんな感じなのかなぁとAは後で立花に謝ることを決意した。


「おや、私の前で他の男の名前を出すなんて良い度胸じゃないか」


そんなAの思考をぶった切った男の声。そうアイツ＿＿雑渡昆奈門である。


「うげぇアンタ何言ってんの？」

「ははっ冗談だ。相変わらず元気そうで安心したぞ」

「そりゃどうも。そっちも相変わらずの面倒臭さはご健在のようで」


ところで上記の2人の会話から、彼らが会うのが久々であるということがわかった方はいただろうか？実は彼らもAと伏木蔵のように＿＿3年という長い年月ではないが久々の再会なのだ。


確認になるが、Aは長期任務としてヨイヤミ城に勤めていたフリーの忍者である。しかし雑渡は当初、Aがフリーだとは知らなかった。だって最初の自己紹介でAが『ヨイヤミ所属』とか言っちゃうから。
だがある日フリーの忍者だと言われた。A的には『自分はフリーだから他の城とも繋がりがあるかもしれんぞ？仲間にしたらそっちの情報を敵に流すかもしれないし勧誘はやめとけ？』という意味を込めたものだが、雑渡は『フリーだから裏切る？裏切るやつはフリーじゃ無くても裏切るし、それよりフリーなら今すぐにでもタソガレドキに来れるじゃん！』といったポジティブシンキングをかました。結果勧誘が激しくなった。

そんなときにやってきたのがヨイヤミでの長期任務の終わりだ。フリーの忍者はわかりやすく言えば派遣社員。契約が満期になって更新しなければさよならバイバイ。Aはヨイヤミ城主からは契約更新、即ち任務の続行を持ち掛けられていたが雑渡の激しい勧誘にうんざりしていたし、それより伏木蔵に会いた過ぎて実家に帰ることにしたのだ。

勿論、雑渡には何も言わずに。

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