18.寒色チーム ページ18
「あ、テツ君!」
「白雪さん」
部誌はどうせ先生に見せるために職員室まで持っていく。
ならばテツくんや青峰君を見ながら書いてもいいじゃないか。
むしろそっちの方が捗る気がする。
「この学校広いからちょっと迷っちゃった」
さすが私立というべきか、体育館は一つだけではない。
しかも体育館で全校集会とかせずに、ちゃんと講堂でするから恐ろしい。
私が体育館に顔を覗かせるとドリブルしていた手を止めてすぐに名前を呼んでくれた。
「私はこっちで部誌でも書いてるね」
「はい」
汗をかきながらも必死にゴールを見上げるテツ君。
見てるだけ幸せだ。
こんな空間にいられて前世も名残惜しくはあるが、やっぱりこのままがいいなあと胸を弾ませる。
「よ、テツ!…って白雪!?」
テツ君を見つめていると、ガラガラと体育館のドアが勢いよく開く音がした。
「青峰君、やっほー」
「なんでお前がいるんだよ」
「今日から一緒に練習することになったんです」
「いや、お前バスケできないだろ」
「うん!」
何を言っているのだろう。
当たり前じゃないか。
どれだけ頑張っても体育は3だった私を舐めないでいただきたい。
青峰君にピースして笑ってみせるとまあいいけど、と呆れられたような変な顔をされた。
そんな顔されてもと思いながら日誌に向き合ったのだった。
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天 - 凄く面白いです!更新頑張ってください! (2020年11月20日 16時) (レス) id: e6de3d2e77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しお | 作成日時:2020年7月5日 18時