探偵の用心棒5【文スト】【江戸川乱歩】 (ページ8)

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番外編　クリスマスページ8

『晶子、飲みすぎないでよ』

グラスにワインを注ぎながら、心配そうに友人を心配する間宮。与謝野は其れを口に運ぶと、「大丈夫さ」と頬を赤らめながら返した。

与「せっかくの聖誕祭(クリスマス)だ。少しくらいハメを外しても構わないだろ？」

『そうは云ってもねぇ…』

間宮は眉を顰め周囲を見渡す。食事を嗜む者や、談笑を交わす者、酒を飲みすぎて酔いしれている者までいる。まぁ其のほとんどが探偵社員なのだが。

今日は聖誕祭(クリスマス)である。綺麗に光るイルミネーションがヨコハマを照らす時期だ。其の景色はより一層、人の目を引くモノである。

そして今行われているのは、クリスマスパーティーというわけだ。

(ま、皆んなが楽しいならそれで善いけれど_____)

_____二日前

『出張？』

福「ああ。ちょうど聖誕祭の夜からだ」

『成程。…福沢さんの頼みは私も(・)断れないわよ。任せて』

福「…すまぬ」

福沢の頼みとは乱歩の事についてだ。普段は福沢と二人暮らしの乱歩だが、どうやら家を開ける福沢にとってあの二十六歳児は少々一人にするのに不安があるらしい。

福沢さんも親バカだな、なんて思いながら間宮はいつも其の頼みを聞き入れるのだ。

『乱歩が家に泊まるなんて慣れっこだしね。そんなに心配しなくても大丈夫よ』

福「…問題はもう一つの方だ」

『もうひとつ？』

間宮が首を傾げると、福沢は机に向かい引き出しの中を探り始める。そして手に持っていたのは…。

『靴下…？』

福「ああ。中には菓子が入っているんだが…」

『菓子？どうして菓子なんか________え、まさか"まだ"乱歩にプレゼント渡してるの？！』

クリスマス。それは世の子供がプレゼントを無条件でもらえるという特別なイベントでもある。それがクリスマスプレゼントだ。

無論、間宮も成人するまでは福沢からプレゼントを貰っていた。
探偵社に来る前はクリスマスなどただの平日であったが、福沢、そして乱歩と過ごすようになってからは一年の中でも一層好ましい日になっている。

(だから私と乱歩へのプレゼントは別々に渡してたのね…)

間宮はいつもクリスマスイブの二十四日にプレゼントを貰っていた。察するに、乱歩へのプレゼントはクリスマス当日に枕元に置いていたのだろう。

『…要するに、其の役目を今年は私がしなきゃいけないって事ね』