雷娘の災難

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出会いページ3

ギルドへ向かう途中、Aは複数人のチンピラに絡まれている子供を見かけた。

周囲の大人たちは心配そうに見るものの、誰も助ける勇気はないのか、助ける素ぶりはない。

「ったく、こういうのってどこの町でもあるんだな」

当然見過ごす事などできず、Aは子供を庇うようにチンピラとの間に割って入った。

「おいお兄さんたち、坊主が怖がってるじゃないか！」

「あぁん？なんだテメーは」

「あぁん？人間ですよコラ」

「んな事聞いたわけじゃねぇよ！！」

「オレたちゃ今お話中なんだよ、ガキは引っこんでな！」

気が短いらしいチンピラたちは一斉に各々の魔法を繰り出したが、そのどれよりもAの魔法の方が早かった。

「遅え！！」

「「ギャーーーッ！！」」

鳥の形をした雷を受けて感電したチンピラたちは真っ黒焦げになり、敵わないと知るや否や一目散に退散した。

「覚えてろよーー！」

「二度とこんな事すんなーー！」

ふんす、と鼻を鳴らして呆然としていた子供を振り返り、目線を合わせるためにしゃがんで頭をポンポンと撫でた。

「もうあんな危ない奴らには近付くなよ」

「う、うん！ありがとうお兄ちゃん！」

「お姉さんだ！！」

「ほう、てめぇ女だったのか」

「そうだよ！」

そこへ第三者の声。
失礼な！と思いながら振り返ると、後ろにはさっきのチンピラよりおっかなそうな大男が立っていた。
ヒェッという情けない声が出たのも仕方ないだろう。

「さっきの見てたが、オレと同じ雷の魔導士か。技のキレもいい、女にしちゃ中々やる」

見るからに悪人面な笑みを浮かべて見下ろしてくる男に、普段なら言い返すところをあまりの威圧感に臆して固まってしまう。
Aが石のように固まっている間に子供は泣き出してその場を逃げ出した。

(ちょ、ボクを置いてかないでおくれよ)

あの子と一緒に逃げればよかったと思うのも後の祭りで、チャンスを逃したAは目の前の男の視線から逃げられなかった。