2人の距離 ページ16
ナツたちが戻ってこなかったらどうしよう。そう考えたら居ても立っても居られず、ボクも挙手していた。
「ボクも行く!」
「いや、オレ一人で十分だ」
「待てグレイ、Aも連れて行けぃ」
「A」
マカロフがグレイに指示したが、ラクサスは逆にAを止めた。
「お前は行くな」
「な、なんで!?ナツたちが危ないのに…」
「ほっとけよ……戻ってこれねーんなら所詮その程度だったって事だ」
「そんな…!」
「ラクサス!これはお前が決める事ではないぞ!」
「別にいいだろ、そいつが一人で行きてえっつってんだからよ」
「そうだぜ、じいさん。Aもありがとな、気持ちだけ受け取っとく。あのバカ共はオレに任せとけ」
「う…うん…気をつけてね?」
「おう」
結局、ナツを連れ戻す役目はグレイが負う事になり、彼は軽く身支度をして出ていった。仕事を受けたラクサスについていく間もAは不安だった。
「泥棒猫がちぎっていったやつ、本当はハッピーってわかってた?」
「ハ、当然だろ。羽の生えたネコなんざソイツしかいねぇよ」
「知ってて見逃したの?!ラクサス性格悪っ!」
「そうだな。それじゃあこんな生意気な口は塞がなきゃあな?」
「いっ!?」
ちょっと煽ったら凶悪な笑顔で腕を掴まれて壁ドンされた。怖い。
「ごめんなさい調子に乗りました」
「反省するのが少し遅かったな」
至近距離に迫るラクサスの顔に、どうしても赤面してしまい、顔をそらす。しかしそれも許されず、顎を掴まれて目を合わされた。
「ッひぃ…!」
「…クク」
耳元に息を吹きかけられ、ビクリと肩が揺れてしまうのも仕方がない。明らかにAの反応を見て楽しんでいるのが見てとれるため、余計に羞恥に襲われる。
(ほんっとに性格悪いな…!)
羞恥から逃げるようにぎゅっと目を瞑った。しばらくそのまま耐えていたが、その後すぐに額に弾かれるような痛みが走った。
「痛ッ!今デコピンした?!」
「変な顔してんじゃねぇよ。なんだ、キスでもされると思ったか?」
「なッ、ち、違うし!!キスってのは好きな人にやるもんだろ!!」
ムスッとラクサスを睨みつける。しかし彼には効かなかったらしく、さっさと歩いていってしまった。
「あ、ま、待ってよ!」
置いていかれまいと小走りで駆け寄ってくるAに気付かれないように、ラクサスは小さくため息を吐く。
「…ガキ相手になに動揺してんだオレは…」
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白 - 続きが気になります (2023年3月27日 7時) (レス) @page16 id: 574270cb2a (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 久しぶりに読んだけどとても面白いです。続きは在りませんか (2022年11月19日 18時) (レス) id: 9084a50d79 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 続きが読みたいです!更新はないですか? (2022年8月18日 21時) (レス) @page24 id: 9084a50d79 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 続きがめちゃくちゃ気になります。 (2019年7月21日 21時) (レス) id: 69b03814fe (このIDを非表示/違反報告)
紫月(プロフ) - 続き気になります! (2019年7月6日 8時) (レス) id: 1809d36fc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:世奈 | 作成日時:2019年1月3日 13時