雷娘の災難 (ページ11)

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帰り道にページ11

仕事を終えた帰り道。
あとはギルドに帰るだけなのだが、ラクサスは行きも帰りも歩きだと言う。
なんでだ。電車嫌いなんだろうか？

「あー…疲れた…」

「楽しかったな」

「それはラクサスだけな！！」

こやつ、あろう事かボクを怪鳥の巣に蹴落として自分は高みの見物だぞ！！酷いにもほどがある。

「ボク一応女の子なんだけど？！」

「助けてやっただろーが」

「元はと言えばラクサスのせいだから！」

S級なだけあって、ボクだけじゃ怪鳥の餌になって終わりだったね。ラクサスがボクもろともレイジングボルト落とさなきゃあのまま食われてたね！生きてる自分を褒めてやりたい。

「ていうか、ボクの怪我ほとんどラクサスの雷だからね？そこんとこわかってる？！」

「そうだな、こことか？」

「い"っ！？バカやめろ！！」

まだビリビリと熱を持ってる左肩を容赦なく掴まれた時は思いきり振り払って逃げてしまった。
怒ったかと心配したが、ラクサスは特に気にした様子もなく、むしろ笑っていた。

「ははっ、必死じゃねえか。そんなに痛かったか？」

「そりゃ痛いよ、ラクサスの雷強いんだもん…」

まあ、耐性が強いおかげで怪我っていう傷もなくただ痺れてる箇所が熱いってだけで済んでる。ラクサスも一応加減はしてくれてるみたいだけどさ。

「…でも、なんでボクを連れて来たの？結局足手まといだったでしょ…」

つい聞いてしまった。でも事実だ。ラクサス1人でもあんなの余裕でクリアできただろうに。

「お前は見込みがある。オレの雷をあれだけ食らってピンピンしてやがるのがその証拠だな、こんな奴はそういねぇ」

「ん…？褒められてるん…だよね？それは嬉しいけど、なんでボクを強くしようとするの？ラクサスに得があるとは思えないけど…」

「ない事をわざわざオレがやると思うか？」

「…前から思ってたけど、ラクサスは何を目指してるの？」

その問いに、ラクサスはAを振り返って笑った。
当然だろう、という風に。

「オレは最強のギルドを作る。誰にもなめられねえ史上最強のギルドをな」

「はぇ…？」

「お前は…まあ、その第一号ってとこか。オレのためにせいぜい励めよ。それと、」

今日はよくやった。
くしゃくしゃと頭を撫でて歩いていくラクサス。

「……あ…ま、待って…！」

ポカンと口を開けたまま見ていたAだったが、我に返るとすぐに後を追いかけた。

(誰かに褒められたの、初めてだ…)