九井 ページ26
白橋SIDE
あの事件が起きてから、1週間が経った。女の人はまだ入院している。店のガラス窓の修理は終わっていてお店はいつも通り営業中。
「いらっしゃいませ。…あら、九井さん」
九「白橋、スーツを取りに来た」
「かしこまりました。ただいまお持ちしますね」
多分竜胆さんにここが襲撃されたことを聞いているから、先週九井さんは来なかった。ん?今日は月曜日だよ。毎日毎日同じ日々を過ごしていると今日が何曜日かわからなくなる。
「お待たせしました。お会計3万3千円になります」
九「カードで払えるか?」
「大丈夫ですよ。一括でよろしいですか?」
九「あぁ」
わぁ…黒いカードだ。
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
九「そうだ。…あの時以来竜胆と会ってないようだけど、別れたのか?」
「…いいえ。でも…、私の方から会うことを拒否しています。これでは付き合っているのかすらも怪しいですね」
何度か竜胆さんは私に会おうと店に来るけど、全て追い返している。彼氏なんだから、追い返しちゃ駄目なのに。今はまだ…顔を見ることが出来ない。
はぁ…、ホントに何やってんだろな。私は。ちょっと前まではこんなんじゃなかったのに。あの人に…絆されちゃったのかな。
九「会いたくないってこと?」
「どうなん…でしょう。でも…寂しい…。…そう、寂しいんです。昔失った温もりを…、もう一度失ってしまったように感じるから」
九「…寂しい、か。そう感じるってことはアイツのことが好きだということだ」
…え?でも…、
「竜胆さんの言っていた好きには当てはまりません。独り占めしたいとか、その人で頭がいっぱいになっているとか…そういうのは感じないので」
九「別に好きの感じ方は人によると思うけどな」
「多分違います。私は…、私は…、ただ本当に寂しいだけなんです。親を失った時と同じ寂しさです。だから、私が竜胆さんへ向けている感情はきっと家族へ向ける感情と似たようなものだと思います」
もしこの感情が間違っていなければ、私は傍にいてくれるなら誰でもいいということになる。そんなのはおかしいけど。…許されない。
「私は…、あの人の隣にはいられません。だから…ちゃんと話します。いや、前も言ったんですけどね。これ以上関わることをやめようと。でも竜胆さんは私を手放してくれませんでした。本当に…困った人です」
九「白橋…」
私は…愛されている。
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suffron*(プロフ) - ゆいとこさん» コメントありがとうございます!三ツ谷君が最推しなんで結構序盤絡ませていきたいと思ってるんです!これからも頑張りますね! (2022年11月18日 15時) (レス) id: 8634fbdb13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいとこ(プロフ) - 続編移行おめでとうございます!(おめでとう…なのか?)いつも楽しく読ませていただいてます!!三ツ谷くん出てくるんですね!今後の展開がすごく楽しみです♪無理せず更新頑張ってください!! (2022年11月18日 15時) (レス) @page1 id: e4df59fc58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:suffron* | 作成日時:2022年11月17日 23時