ありがとう ページ23
『…天野さん、勝負を続けますか?』
いつの間にか他の人もステージに上がっていたらしく、くぬぎんせんせーが少し気まずそうに話しかけてきた。
本来なら『Trickster』が『fine』を倒した後、エンドロールとなる筈だったんだ。それを『Trickster』に甘えて引き伸ばしてもらっているのは私達の方。
にじとのっちにアイコンタクトでいいよね?と合図する。二人は笑顔で頷いた。
『いえ、私達はリタイアします。』
「な、なんで!?」
ざわり、と会場が湧くのは想像していて実際その通りだったんだけど、思ってもいないところから驚きの声が上がった。え、なんで君が。
動揺はしたけど、それを全部呑み込んでオレンジの彼に目を向ける。その目は本当に意味がわからないというような感情を表していたため、減るものじゃないし説明をしてあげた。
『本来なら、予選すら行っていない私達がここに立つのは許されなかったんです。それを強引にも上がらせてもらった挙句、身体を返す手伝いもしてくれただけでもう。』
『それでも…っ!』
『ありがとうございます、『Trickster』。でも本当に、もう充分なんです。』
涙を拭い、にっこりと笑みを浮かべる。そのままくぬぎんせんせーが持っていたマイクを借り、
『それにそれに〜!』
『会場の皆さんも、貴方達の勝利宣言を今か今かと待ってるよ。』
二人が四人の意識を会場のお客様に向けさせて、こっちにウィンクを決める。ナイス、と親指を立てて微笑んだ。
『Trickster』が心底幸せそうに笑うのを後から見て、『三大華』はステージを去る。明星スバルが『三大華』を呼んでいるのも聞こえたが、振り返らずに一礼してステージ裏へと戻った。
「…良かったの?」
「こっちに来たばっかりの時、一緒に歌いたいって言ってたじゃん」
二人の声に足を止め、そのまま二人を抱きしめた。
「いいんだ、これで。これ以上、望んじゃダメになる。」
「…そっか。」
「…お疲れ様。」
言いたいことは沢山あるだろうに、それを全て押し込んで背中を叩いてくれる二人に甘え、廊下のど真ん中で安堵の涙を流す。
ありがとう、ありがとう、と誰かの足音が聞こえるまで三人で抱きしめあった。
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羅氷華(プロフ) - ゆず胡椒さん» あわわ、全然ゆっくりで大丈夫ですよ...!!課題の方終わらせてから時間が余れば手をつけよっかな、ぐらいの心意気で気楽に考えていただければな、と思います。私服ですか!!!許すどころかめっちゃ嬉しいです...!無理のない範囲でどうぞよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年4月29日 17時) (レス) id: 2f5c758405 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず胡椒(プロフ) - あと、すごい時間がないのでユニット衣装の絵はまた、落ち着いてから描かせていただきたいなと思っています!今は想像で描いた私服でお許し下さい!本当に申し訳ないと思ってます!スミマセン;;(´;ω;`) (2019年4月29日 14時) (レス) id: 6e1b80d42d (このIDを非表示/違反報告)
ゆず胡椒(プロフ) - 受験勉強の時もやられちゃいまして;;バレないように引き出しにいれても見つけてやられちゃうんです!今、描いてるんですけどまたバレるかもなので、全然描けてないんです;;本当にすみません!課題終わり次第描くのでもうしばらくお待ち頂けると嬉しいです! (2019年4月29日 14時) (レス) id: 6e1b80d42d (このIDを非表示/違反報告)
ゆず胡椒(プロフ) - 私の入った高校、アホみたいに課題の量が多くて終わらないんです!それで、もういいかと思って描いてたんですね?そしたら、鬼ババに見つかっちゃってアナログだったので紙だったんですよ。あのー、ね?こう、ビリビリッ!と (2019年4月29日 14時) (レス) id: 6e1b80d42d (このIDを非表示/違反報告)
ゆず胡椒(プロフ) - スマホの方から失礼します。京です!本当に申し訳ないと思っております!描く描く言ってるくせに学校生活が忙しくて全然描けてないんです!本当に申し訳ない!言い訳をさせてください! (2019年4月29日 14時) (レス) id: 6e1b80d42d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羅氷華 | 作成日時:2017年11月23日 0時