【番外】シトリン【後編】 ページ29
「なんてことがあったね。」
「よく覚えてるネ、そんなこト。」
「そんなとは何だそんなとは。」
結構私にとっては大きい思い出なんですけど。
今の、高校生になった夏目にはあの頃のあどけない可愛さはほとんど残っていない。
もはや可愛い云々というより色気がある。
どっちも好きだけど！
「だってその時からだよ、私が夏目のこと呼び捨てにし始めたの。」
そう、元々私は夏目のことを『夏目くん』と呼んでいた。
それが『夏目』に変わったのはこれ以降だ。
とっさに口から出てしまった『夏目』という呼び方に何となく憧れたかつての私が呼び方を変えたから。
ちなみに夏目は幼い頃『瑚宵ちゃん』と呼んでいたのに小学生になった途端『瑚宵』になった。
生意気になったと思う。
「さて、そんな話題持ち出して朝の実験の時間を引き延ばそうとするのやめてネ。はい、今日の"魔法"。」
「何の魔法でーすか？」
「『幼い記憶をよみがえらせる魔法』。」
「それは、パッと見分からなくない？」
「別にいいんだよ、瑚宵が思い出したか言えばいいんだから。」
幼い記憶…か。
そういうものは、段々薄れていく。
でも、私の中には確かに夏目との思い出がある。
忘れることはあっても、消えることは無い思い出が。
私にとって幼い記憶は諸刃の剣だ。
幸せだったことも、夏目を追いかけて痛かった思い出もある。
それでも、今思えばどれも大切なモノだから。
フラスコの縁に口をつけ、思いっきり中身をあおる。
頭に浮かんでくるのは愛しい人との記憶。
小さな時の、日常。
そしてその時の想い。
幸せだった頃の記憶。
「どう、思い出せタ？」
「いや、特には…。」
だからまた、嘘をつく。
幸せでいたいから。
でもこれはきっと幸せといわないのよね。
分かってる。分かってるからこそ、嘘をつく。
これが今の日常だから。
でも、確かに、頭に鮮明に浮かぶあの日々はとても、甘くて幸せだった。
ｰｰｰ
過去の夏目の語尾が歪んでないのはわざとです。
さすがに小さい頃はカタカナ語尾じゃなかったかなぁ、といつ私の勝手な解釈です。
No.25 染綾 ※少し血の表現があります→←【番外】シトリン【前編】
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*SSU* - 更・新・頑・張って・ください・ネ♪ (2020年4月17日 18時) (
レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
矢澤こゆき - 初コメ失礼します｡目は大切ですし､後悔しては遅いので治療頑張ってくださいね!!更新も楽しみにしてます｡ (2019年9月23日 20時) (レス) id: 9da7dff2c7 (このIDを非表示/違反報告)
Lien(プロフ) - 更新楽しみにしてます！これからもがんばってください！ (2019年9月23日 19時) (レス) id: 023ad1d1e4 (このIDを非表示/違反報告)
小豆 餅(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しみに見させてもらってます(*^ω^*)これからも頑張って下さい！応援してます！ (2019年9月7日 9時) (レス) id: 803e6e2014 (このIDを非表示/違反報告)
萩(プロフ) - お菓子なこいしさん» それはもう！お菓子なこいしさまの好きなようにどうぞ！よろしくお願いします(土下座)(土下座) (2019年9月2日 16時) (レス) id: cfe465a6d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：萩 | 作成日時：2019年5月17日 23時
