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灰崎視点

翌日、俺はAを探し回った

…よく考えてみれば俺、アイツのクラス知らねぇんだよな

俺らの関係はAがいないと成り立たないという事を思い知らされているようだった

そういう関係にしたのは俺だけど

全部教室を覗いて、やっと見つけたのは昼休みだった


灰「………お前今来たのか?」

貴「…いいえ、朝からきちんといたわ」

灰「毎時間探してんのにいなかったんだけど」

貴「2限目と3限目は…保健室へ行っていたから」

灰「それ以外は?」

貴「移動教室よ。ただ、HRと1限目の間はいたわ」

灰「………遅刻したからその時間はいねぇ」

貴「…呆れた」


はぁ、とため息をついて緩く笑うAを見て、もういつも通りなんだなと一瞬思ってしまった

………違う、いつも通りなんじゃない

これはコイツの上手すぎる演技で、きっと何もわからない奴はいつも通りだと思うんだろう

…ただ、こうも俺にまで隠されると何故か苛立ちが募る


灰「……いいや、とりあえず来いよ」

貴「えっ、何処へ行くの?」

灰「あー…屋上」

貴「きちんと授業には出させてくれる?」

灰「…善処する。ほら行くぞ」

貴「あっ」


ぱしっと手を取って、そのまま屋上へ連れて行く

その時にチラリとAの表情を見てみたら、少し困った顔をしていた

眉が少し下がっていて、それでも口元はちょっとだけ緩んでいる

……これから何を聞かれるか、薄々分かっているのかもしれない

屋上に到着し、手を離す


貴「……祥吾?」

灰「…………お前も、薄々分かってるだろ?俺が聞きたいこと」

貴「あ…そう、ね。昨日は…途中で…」

灰「…だからさ、教えてくれよ」

貴「ダメよ…。昨日、修造に釘を刺されたの。絶対に言うなって」

灰「……何でだよ、何をそんなに隠してんだよ」

貴「冷泉の名前に泥を塗るような出来事だもの、門外不出よ」

灰「……………そんなに虹村さんが止める理由って、もしかして虹村さんがやったとか?」

貴「…何を?」

灰「……背中の、傷」


俺がそう問えば、Aはふるふると首を横に振る


貴「いいえ、違うわ……。修造は、何も関係ないの。でも…私に仕えていたばっかりに、知ってしまったのよ」

灰「…ふうん」

貴「本当に、修造がやったわけではないの。違うのよ、信じて」

灰「ああ、信じる」

貴「……良かった」


Aはホッと息をつく

…Aの言っていることが本当だとして、虹村さんじゃないなら……一体、誰だよ

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碧夜叉 - 灰羽さん» 本当ですか!!嬉しいです!これからも更新頑張りますね! (2018年7月27日 7時) (レス) id: fa67c2696c (このIDを非表示/違反報告)
灰羽 - 話の展開が凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2018年7月26日 23時) (レス) id: 25c64ff54b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:碧夜叉 | 作成日時:2018年6月23日 0時

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