個性豊かな ページ5
先生「お、若武っ！」
若武？と指名された男の子は、ドカッと大きな音を立て、椅子から勢いよく立ち上がった。
「どの部活に入るか決めてますか？」
KZ学園では部活動に力を入れていて、ここの生徒である以上は、必ず部活に入らなくてはいけない。
なんでそんなこと聞くんだろ、そう思いながら質問に答えた。
「まだ迷ってて、決めてないです。」
若武「なるほど。あと…」
まだあるのかな？そう思って若武くんの目をじっと見つめていると、彼の顔が徐々に赤く染まっていく。
大丈夫かなと心配に思っていたが、若武くんは意を決したように話し始めた。
若武「好きな異性のタi(先生「質問は、１人１つまでな！」
若武くんの言葉は先生の声によってかき消され、私には何を言っていたのかさっぱり分からなかった。
その後も飛び交う質問は後を絶たず、チャイムが鳴ったところで強制終了となった。
先生「残念だが時間だ。残りは、休み時間にでもAに直接聞くといい。では、朝のSHRはこれにて終わり！」
ほとんどの生徒が次の授業の準備をし始め、先生も教室の外へ出ようとしている。
それを呼び止めようと服の裾を引っ張ると、先生は振り返って不思議そうにこちらを見てきた。
なんて無責任な…。
A「私の席、どこなんでしょう…？」
愛想笑いを浮かべながらそう聞くと、先生は二カッと笑った。
先生「う〜ん、好きに移動させていいぞ。」
はいーっ？
まだ来たばっかですよ、私。
先生のいい加減な発言を、恨めしく思う。
先生「ほら、後ろ。」
そう意味深に言い残して、教室を去って行った。
先生の発言が気になったので見ると、私のものであろう机と椅子を軽々しく持ち上げている男子が…？！
？？「俺が運ぶよ。席、どこがいい？」
笑みを含んだ艶やかな目で見つめられて、私はドキドキせずにはいられなかった。
女子へのこの対応力、とても同級生だとは思えない。
？？「それとも、俺の隣にする？」
どんどん進んでいく話についていけず、何も言えずじまいの私。
そんな時、聞き覚えのある声が耳に届いた。
彩 「黒木くん、ずるいよ〜！Aちゃんの隣は私がなりたかったのに。」
まさかとは思ったが、やはり彩ちゃんであった。
同じクラスになれたらなとは思っていたけれど、本当に実現するなんて…！
一生の運、使い果たしたかも知れない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：よつば | 作成日時：2020年3月8日 21時
