夢の世界へ誘われ【文豪ストレイドッグス】

夢22 ページ23

「嗚呼…記憶が消えてく……」



意識をすればする程、前の記憶が消えていく。



楽しそうな記憶、辛そうな記憶…凡て、凡てが。









ふと、目の前に光が戻った。

「………あ、あれ？」

＿＿＿＿＿ぽっかりと、ナニかが消えた気がする。



「……え？……あ、あれ…？何で……？」



何で、こんなに涙が溢れるんだろう＿＿＿＿？


袖口で幾ら拭っても、止まらない。
ゴシゴシと、皮膚がただれるんじゃないかっていう位強く拭っているのに。


大切な人が、消えたような…
大切なモノが、消えたような…


………喪失感。


そんな言葉より、ずっと重い。

悲しみや苦しみ……そんな、負の感情でいっぱいになる。




「…どうして…どうしてこんなに胸が苦しいの…ｯ？！」


おかしい。おかしいっ！
どうしてこんなにもココロがもやもやずきずきするの…？！


ボロボロと涙長し乍、
机に置いてあったものや、椅子などを、
私は手当たり次第になぎはらった。

＿＿＿＿＿＿


鏡花Side


いつもは牢にいるけれど、今日は外に出れる日だった。


……それが、幸いした。






そのとき私は、意味もなく廊下を歩いていた。

歩いていく先から、たくさんの音が聞こえる。
徐々に近づいていき、その音が聞こえる部屋に辿り着いた。


「………結ヶ咲……A…」


扉の近くの板に、そう書かれていた。
……その名前は、私に話しかけた人の名前。


私は、扉を開けていた。

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