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三話 ページ3

「はぁ…手伝ってくれても良くないですかぁ〜
酷いです!僕だけにやらせるなんてぇ」

そう云いながら中島少年は川に溺れていた"人"を岸辺に引き摺り出した

川に溺れ掛けていた故にその皮膚は少しだが僅かに紫色を帯びている

特に顔が

ボサボサの髪

高くスラッとした体型

上品で高価な洋服

手首や首周りが特に目立つ包帯

横で中島少年が何か云っているがそんな事も耳には入らない


この男は

「裏切り者
太宰、太宰治」

私がそう呟くとほぼほぼ同時に太宰の目に黒目が戻った



逃げたい今すぐこの場から立ち去りたいだけど脚がガクガク震えて上手く歩けない

思考が上手く廻らないぐるぐる…ぐるぐる

あの時彼に付けられた傷痕ももう痛みは感じない筈なのに

こいつとの苦い記憶と一緒に吐き流した筈なのに

頭が痛い
苦しい

ぐるぐる…ぐるぐる…ぐるぐる…ぐるぐる…ぐるぐる…ぐるぐる…

それは消える事もない

「?
どうしたんですか?そんなに顔を青くして」

中島少年が困った顔で心配そうに首を傾げたが

今は自身の事で精一杯

この男がタヒんでくれたらどんなに嬉しいかった事か

気づけば上半身をお越した"ソレ"は正に生者そのものであった

「助かったか…ちぇ」

「ちぇ?!」

「君かい?私の入水自 殺を邪魔したのは…
ってAじゃないか
どうして此処に?」


厭それは私が聞きたい

貴方こそそんな所でどうしたのか

そんな間抜けな貴方は知らない
私が知っているのは何時も冷酷で私を塵でも見るかの様に見下ろしてきた貴方だけです

こんな間抜けな貴方を

私は知らない

でも

ぐるぐる…ぐるぐる…ぐるぐる…ぐるぐる…ぐるぐる…
頭が痛いから

痛みから逃げるようにそこから私はそっと走り去った

まさか、マフィアに勧誘した筈の少年が探偵社に入るなんて知らずに

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作者名:水ノ瀬 蓮 | 作成日時:2021年4月18日 21時

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