チビだったからってナメんなよ【マフィア松】

87，パニック ページ15

〜夢主 side〜


１週間。

あれからなんの手がかりも掴めず、彼等も見つからないまま１週間が経ってしまった。

今は真夜中。

今日も一日中歩き回り、疲れ果てて書斎机に突っ伏している。

『あーもー…ほんと、どこいっちゃったの…』

小さく呟いて目を閉じる。

ベッドに行くのも面倒だ。

このまま寝てしまおうか。


ガタン


『！』

音のした方へ振り向く。

そこには

？「こんばんは、お嬢さん」

開け放たれた窓の淵に立つ金色の髪を揺らす碧い目をした男。

それは間違いなくレンだった。

レン「…なんてね。寂しかった？」

『なん…で』

書斎の中に降り立ったレンは薄く笑みを浮かべた。

？「レン様、置いていかないでください」

次いで登ってきたのは黒いスーツの男。

『高橋…？』

高橋「はい。しばらく姿を見せず、申し訳ありませんでした」

突然の2人の登場に、私はただ目を丸くするしかなかった。

どうして、彼等が目の前にいるのだろう。

どうして、私の前に現れたのだろう。

どうして、2人が帰ってきたことを喜べないのだろう。

レン「ねぇA」

『え…』

気がつくとレンの顔がどアップで映っていた。

少しでも動けば、触れてしまうのではと思うくらいに。

レン「一緒に逃げようよ」

…は？

『何言って…！』

レン「Aはこんなところにいちゃいけないよ」

高橋「レン様の言う通りです。さぁ、私達と行きましょう」

『行くって…どこに…』

レン「…秘密。でも絶対、Aも気に入ってくれるよ」

高橋「下に車を手配しています。バレないうちに早く」

『でも、私がいなくなったらザクロは…』

高橋「もう要りません。ザクロ ファミリーなんてもの、邪魔なだけです」

『高橋…!? てか、行くなら六つ子も、一緒に』

レン「六つ子も要らない。あんなヤツら、早く死んじゃえばいいんだ」

なんで？

その一言が声に出なかった。


高橋は、ザクロのことすごく大事にしてたでしょ？

レンは、六つ子と仲良かったでしょ？


その時の私は2人の放った言葉に動揺していて、完全にパニック状態だった。

レン「ほら、行こう」

『い、嫌だ！』

レンを振り払ってドアへ走った。

ドアノブに手を伸ばし、指先が触れた＿＿＿＿





その時感じたのは一瞬の痛み。

私の記憶はそこまでだ。

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