二ページ ページ2
「いったぁ…」
なんとか、まだ刈りかけの草があったおかげで痛みは軽減した。のび太はよろよろと立ち上がる。そして倉庫のドア閉めようと倉庫に体を預けながら足を動かした。
「…?」
コツリと何かに爪先に当たった。視線をまっすぐに降ろすと、何か分厚い本であった。のび太は本を手に取りさっさと埃を払うと、黒い文字が見えた。
「…夏休み日記…?うわぁ、懐かし…」
汚い字で5年2組、野比のび太と記されている。あまりの字の汚さから反抗期とうかがえる。のび太は呆れたような笑みを浮かべた。「…いっか」のび太は縁側に座り、ぺらりと昔はどんなことを書いていたのだろうと興味本位で捲った。
《7月24日
今日は待ちに待った夏休み。今年はかぞくりょこうがあるかな》
《7月25日
今日は特に何もなく、へいわな一日がおわった》
《7月26日
今日、しずかちゃんと出木杉のやつがいっしょに歩いていた。くやしい》
俺はこの頃からしずかちゃんの事が好きだったのか。のび太は笑いながら次のページ次のページと手を休ませずに捲っていった。ふと強い風が吹いた。のび太は折角刈った草が飛ばされないようにと袋の中にせっせと入れる。風がやむ。のび太は刈り終わった庭を一瞥、縁側に座った。
「…さて」
続きを読もうと手に取り日記に視線を落とした。どうせ、宿題が終わっていない大変だとか騒いでいたんだろうなぁ、空想を浮かべる。
《9月1日
ドラえもんが帰っちゃう。いやだよ。僕はまだドラえもんといっしょにいたいのに、なんで帰っちゃうの?まだまだ出来てないことなんていっぱいあるよ。帰らないでよ、帰らないで、ドラえもん。もっといっしょにあそぼうよ。前みたいにいっぱい冒険してさ。ぼくを助けてくれるんだろ?ドラえもん。ねぇ、そんな顔しないでよ》
その一ページだけはシミが作られていた。書かれていたはずの文字もぐにゃりと歪みぎりぎり読めるくらいだ。他のページは白紙同然だった。一行行くか行かないかくらいであったのに、このページだけは不自然に行数を超えていた。
「…ドラ、えもん…?」
聞き覚えのない言葉に頭を捻った。のび太はこれで終わりかと最後のページを捲った。夏休みが終わる最後のページ。そこには何も書かれていなかった。ただ真ん中にポツンと写真が貼ってあり、青いペンでドラえもんと殴り書きしてあった。
1人がお気に入り
「アニメ」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイあむ(プロフ) - めっっっっちゃ気になります (2023年3月8日 10時) (レス) @page3 id: 540a228251 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 続きが読みたいです! (2020年1月7日 23時) (携帯から) (レス) id: d7f028195c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2019年12月25日 18時