都会の夕暮れ ki ページ45
・
「この絵……どことなく妹に似てるの。
もちろん顔は似ていないけど、なんだ
ろ……雰囲気かな？……」
「玲さん、妹さんがいるんだ？」
「ひろ、お客様のことは訊かない決まり
なんでしょ？」
そう言うなり、玲さんの眸が悪戯っぽ
く孤を描いたが、すぐに口元から笑顔が
消えた。
「……？」
「ひろは兄弟はいる？」
「俺？……妹がいたよ」
「いた？」
「あー、死んだんだよ」
「え……？」
玲さんは驚いたように目を見開くと、
口元に手を当てごめんなさいと呟いた。
「いや、俺が幼い頃のことだから」
「でも……」
「いいんだって、もう気にすんな。はい
っ、もうこの話は終わりね」
少しだけその絵の前で立ち止まること
ができたが、混雑していたために、ずっ
とここを占領するわけにはいかない。
俺は、急に黙り込んで動かなくなって
しまった玲さんの手を引き、その部屋の
中央に置いてあるソファに座った。
「玲さん、どうした？」
「ごめん、ちょっと気分が悪くなっちゃ
って」
ミュージアムの薄暗い照明の下で、玲
さんの顔色まではわからなかった。
暫く座っていたけれど、玲さんは口元に
手を当て俯いたままだ。
「大丈夫？……どこかで休む？」
「あの……」
「俺、お客様の嫌がることしないから安
心してください」
いきなりどこかで休もうなんて、俺か
ら言い出したら怖がるかと思い、彼女に
敬語で話しかけた。
「うん……」
「立てる？」
「大丈夫」
＊
ミュージアムの外に出ると、午後五時前
の西の空は既に茜色に染まっていた。
冷たい外気に、思わずマフラーに顎を埋
める。
「ひろ、道玄坂のホテルでいいよ」
「え？でも」
円山町と道玄坂の一部のエリアはラブホ
テルだらけだ。ボーイズクラブの顧客と
はそういう類いのホテルを利用したこと
がなかった。
「ちゃんとひろにはお金払うから」
金を持っていないと思われるのが嫌なの
か、そう言い、俺を見上げた玲さん。
「いや、俺は玲さんがいいならいいよ」
「うん……」
「寒くない？」
「少しだけ」
「ほら、少しは暖かいだろ？」
マフラーを外し、彼女の首に巻いてやる
と、一瞬驚いた表情になる。
「ありがとう……」
「あぁ、行こうか」
徐々に紫色に変わる夕暮れの中、微笑む
彼女は何だかとても儚くて――
そんな彼女を綺麗だと思った。
・
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siori(プロフ) - れいさん» れいさん、初めまして。フラグの部屋は、R18指定があるので設定が必要な為コミュに登録していないと見られないのです。サイトのルールなので申し訳ないのですが年齢が大丈夫であれば登録すれば読むことは出来ます……。 (2019年9月22日 21時) (
レス) id: 25b2988e99 (このIDを非表示/違反報告)
れい - ※の続きが読みたいです。もし宜しければ見方を教えていただきたいです (2019年9月22日 11時) (レス) id: 1d3b0a592d (このIDを非表示/違反報告)
永瀬なつ(プロフ) - ※の続きの見た方が知りたいです(´･ｪ･`) (2018年12月25日 22時) (レス) id: 579642299a (このIDを非表示/違反報告)
キラみつ(プロフ) - ※の続きの見方教えて頂きたいです！！ (2018年10月18日 19時) (レス) id: 4ba300fb0f (このIDを非表示/違反報告)
m228evanescent8(プロフ) - とても引き込まれる内容で楽しく読ませて頂いてます。※の続きの見方おしえてください！ (2018年10月18日 9時) (レス) id: 834a07e579 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2018年8月17日 12時
