罪で結ぶ絆

消えない傷 ページ27

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「酷いだろ？こういう身体が好きでたま
らない奴らがいんのよ。金も暇も有り余
った有力者だよ。

奴らは刺激に飢えてるからね。他人を傷
つけることで快感を得るんだ。俺はそう
いう男達の欲望の捌け口ってわけ」

「……ひろが助けてくれてるって、裕太が
言ってたよ」





「玉は、汚れてないから」





ひろが、ぽつりと呟いた。



「え……？」

「まあ……俺は一生十字架を背負って生き
ていかないといけないクズなんだよ。だ
から、いくら傷つけられても、もう何と
も思わない……」


｢ひろ……自分を傷つけて、傷つけられて
……それで本当にいいの？｣



自分でも驚くほど掠れた声が出た。




ひろはそんな私を見ると、目を見開いて
乾いた笑い声をあげた。



「俺は何されても気になんない……自尊心
なんてとっくの昔に無くしたから。軽蔑
したきゃしてもいいよ」



強い瞳で私を射抜いたまま、また一歩近
づくと、頬に優しく指が触れた。



「俺が怖い……？」




「……ううん……怖くは……ないよ……」

「こんな身体に抱かれてもいいんだ？」




「いい……」



鋭い視線が、一瞬ふわりと和らいだ。




「ほんと、この仕事してるとね、人間て
のは欲まみれのみっともねぇ生き物なん
だなって思うね」

「……」









「玲さん……」





彼の眸が熱っぽくとろみを纏い始めた。

一瞬、私の唇にとろんとした視線を落と
し、ゆっくりとまた視線が交わる。






「本当の俺が、知りたいんでしょ？」






そう言いながら腕を掴まれ、背中が壁に
コトンと当たる――――




「俺……、男も女も両方いけるよ？」




耳元で、低く掠れた声がした。





「ひろ……」

「ふふっ、高い金で俺を買ったんだから
楽しまないと勿体ないですよ？玲さん」




まだ二十二歳の男の子なのに、全てを諦
めたような眸をして

私を映すその冷めきった瞳の奥に―――

深く、仄暗い闇を見た。









「吸っても？」

「どうぞ……」



お風呂から出てきたひろは、徐に煙草を
手にすると首を傾げ、睫を伏せて火をつ
けた。






「ねぇ、そのネックレス……そういうのっ
てお客さんがプレゼントしてくれたりす
るの？」



一瞬、ひろの瞳が微かに揺れた。



「これ？……」

「うん……」

「これは……どうだったっけ？忘れたわ」



忘れた……？



ひろはそう言うと、首からネックレスを
外し、ベッドサイドにぽんと投げた。








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