16.『 書 』 ページ16
・
「きったない廃墟に変なジャージで悪かったな。近所のガキどもからお化け屋敷って言われてる事も知ってるから」
はっ！
やらかしてしまった！
「まっ、まっ、待って！」
けれど私の目の前で、門は無情にもピシャリと閉まった。
.
めっちゃ落ち込みながら会社に戻ると、ニカがさっそくやってきて
「どうだった？A、惨敗って顔してるけど？」
心配そうに聞いてきた。
「まあ……そうかな。なんだか自信がなくなっちゃった。余計な事言っちゃって、本当に聞いてほしい事言えなかったんだよね、それにまた怒らせちゃったみたい」
「えーっ？！また怒らせたのかよぉ？」
「うん……だって焦らせるから、つい本音が出ちゃって」
手強いんだよね、北山さん……
うわべだけの言葉ではうまく伝えられそうにない相手。信用のない私には、最初から不信感丸出しだし……
どうしたらいいんだろう？
私は北山さんの書いたものを実際に見たことがなかった。それなのに良いだとか言われても伝わらないよね……
当たり前のことなのに、それすらしてない自分は編集者としては失格だ。
まず、自分で彼の良さを理解して、そこからが
スタートなんじゃないのかな。
ふと、そんな考えが浮かんだ。
その時、藤ヶ谷さんがやってきた。
「桐谷、あれから北山さんの件はどんな感じじ？」
「なかなか苦労してますっ、あの……藤ヶ谷さんて北山さんの書の実物って見たことあるんですか？」
「もちろんあるよ、何年か前に個展行ったから」
「やっぱり実物見てるんですね……今、北山さんの作品見られるところってあるんでしょうか？」
「んー、ないだろうね。北山さんの家には沢山あるだろうけど」
まーた藤ヶ谷さんってば楽しそう。
見せてほしいってお願いしてみようかな？
彼に少しは近づけるかもしれない。
*
次の土曜日、どうしようかと迷ったけれどくよくよしてても仕方がないと、北山さんの家に行ってみる。
恐るおそるインターフォンを鳴らすと
『はい』
「桐谷です」
『…なに？』
またお前かと機嫌の悪そうな声……
「北山さんの書いた書を見たいんです。見せていただけませんか？」
あれ？返事がない。
しばらくして『なんで？』と、返事が返ってきた。
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siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お返事遅れてごめんなさーい！また来てくださったなんて感激です！星も嬉しいです。また書道やってほしいですね！ (2021年3月3日 19時) (
レス) id: ad892650f9 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - 久しぶりに書道家の北山さんに会いたくなって来ました。いいね☆していなかったみたいでごめんなさい！右☆をポチッとさせて頂きました！ (2021年3月1日 0時) (レス) id: a0721de2a5 (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさーん！お待たせしました！パス付きの方は夜には外せると思います！遅くなってごめんなさい！ (2020年7月5日 16時) (レス) id: 05c0397959 (このIDを非表示/違反報告)
にかみつば(プロフ) - ありがとうございます。明日明後日にはと仰っていたのでずっっと楽しみにしていました！これから読めるのが楽しみです。 (2020年6月5日 1時) (レス) id: 74d56dba5b (このIDを非表示/違反報告)
siori(プロフ) - にかみつばさん» にかみつばさん、お待たせしましたー！2のパスワードを外しましたのでお知らせします。大好きと言って下さり感無量です！涙 (2020年6月5日 1時) (レス) id: f587e16f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：siori
| 作成日時：2016年6月4日 13時
