中原と太宰と時々私 アージン！【文豪ストレイドッグス】【学パロ】

腐女子と戦場 ページ17

「次のおまえのセリフは『なんでヤンデレ幸村で蒼紅を描かなかったんだ』という！」
「なんでヤンデレ幸村で蒼紅を描かなかったんだ！ハッ！」

「うるせぇよ悪かったって言ってんだろ頼むからお前らいい加減に仕事しろ」

「「はい」」


快晴。クソ暑苦しい。こんにちは。Aの友人で本日売り子を担当しております樋口でございます。もう疲れました。

今年も無事開催されましたコミックマーケット。通称：戦場。

篠、いやAは今は全く自分のブースから動いていません。何故ならスケブを頼まれその場でガサガサと描いているからである。そろそろ知り合いさんにご挨拶に回りたいと思っているらしいのだが、なかなかそうはいかないみたいだ。

Aはいつも通り大量の差し入れを貰ったり握手を求められたりしていた。写真だけは断ってるけど。Aは可愛い。普通に可愛い。写真ぐらいなんの問題と思うのだが、「見て欲しいのは本だし、私の顔は脳内で覚えててくれれば十分ですから…」と毎度断っている。


Aのところへ来ているお客さんは女の子が圧倒的だが、たまに男の子もいる。所謂腐男子ってやつ。


「男の子なのに私の妄想見て楽しい？」
「超楽しいッスよまじで篠さん大好きッスし！」
「こいつの影響でハマったんスけど、支部も見てますし実はフォロワーです」
「うっほｗｗｗｗｗｗ恥ずかしいでござるｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

Aは男が腐っているということに対しても偏見は持たない。いい子だ。むしろ男なのに自分の作品に興味を持ってくれていることがものすごく嬉しいらしい。


「あの！篠さん！」
「はー……あー！あなたこの間のオンリーに来てた子でしょー！？」
「はい！そうです！覚えててくれたんですか！」
「そりゃ覚えてるよー！アイスの差し入れまじで嬉しかったんだもん！あの時はありがとうねぇ！」

「いえこちらこそ素敵な日独をぉ…あ、これ差し入れですシュークリーム焼いてきまして」
「ヤンデレた本田が描きたかったんですぅ…うわまじかシュークリーム大好物ありがとうございます」

ほらね、ただのお客さんの顔も覚えてる。Aは本当にいい子だと思う。お客さんの女の子はAの、いや篠の本を保存用と見るよう両方買った。信者なのかな。

「あの、もしよろしければ、スケブお願いしてもいいでしょうか…」
「もちろんじゃないか！誰にする？シュークリームも貰っちゃったし蒼紅じゃなくても可！！」
「え！本当ですか！じゃぁ…」

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