9話 ページ14
歌仙side
『苦しいだろうけどさ、これは今の貴方には必要な事だ
悪いけど、逃げる事は許さないからね』
そう言った彼女の目は
一瞬とは言え恐ろしい程に凪いでいて
“絶対に逃がさない”と言っているようだった
歌仙「……出陣させないだなんて……ならどうする気だい？」
『私が出陣するに決まっているだろうに…』
は？？？この審神者は今なんて言った？？？
歌仙「君が？出陣するのかい？？？」
『そうだよ。一応貴方よりかは確実に強いから』
………それを言われると何も言えない…
彼女が強いのは大太刀を軽々と持っている時点で分かる事だ
なら闘えるのかもしれないが…
『じゃ、取り敢えず心の整理してなよ
一応言っておくと、あっちの突き当たりの部屋が私の部屋ね
別に入るだけなら構わないけれど
あぁそれと、ここは私と貴方だけだから』
歌仙「は？？？？？」
待ってくれ情報を処理しきれないんだが
曰く、彼女は今日審神者になったばかりで
少し……いやかなり特殊な審神者だそうだ
主にブラック関係の事を対処するんだとか
……なら…何故もっと早く助けてくれなかった……？
『……悪いね。私も、全ては救えない
……ただの……人間だからさ。この手は、とても小さいんだ
………だから、一度だけ言う。……ごめんね』ﾌｯ
少し笑ったかと思うと、彼女はどこかへ行った
…出陣に…行ったのだろうか
.
.
する事もないので、取り敢えず本丸を見て回った
春の景趣のようで、庭に桜が綺麗に咲いていた
そこまで沢山草木があるわけではなく、華やかではないが
落ち着いていて、とても澄んでいる
無駄のない美しさがあった
歌仙「……風流だ………」
思わずそう呟いて仕舞うくらいには
彼女の、凪いだ海のようでも、静かな森の中でもあるような
雪のように冷たくも、灯火のように暖かくもあり
形を持たない、どこまでも自然で、夜のように穏やかな
清らかで、けれど眩しくはない、洗練された霊力を表しているようだった
―――――彼女の刀剣であれたなら―――――
そう思う自分がいる
それくらい、泣きたくなるほどに、優しく、穏やかで、澄みきった霊力だ
……けれど、僕には…
こんな空間にいる資格なんて…ない……
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お萩(プロフ) - 猪鹿蝶とはNARUTOを意識したんでしょうか。違ったらごめんなさい。 (2021年1月25日 0時) (
レス) id: dd7c82a96f (このIDを非表示/違反報告)
广 - 設定壱が前世になっていますが、今世では無いでしょうか (2020年12月21日 20時) (レス) id: 95efe95a5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零月 | 作成日時：2020年12月6日 14時
