19話 ページ33
アルベルトの記憶は自分がこの星に来る前、サナーク星にいた頃に飛んでいた。彼は弟妹の中でも、レイを特に可愛がっていた。
レイは可愛かったし、誰からも好かれていた。昔から気味悪がられ避けられてきた自分と違って…。
アルベルトはどうも厄介ごとに巻き込まれ易く、周りで不幸な事も度々起こった。「呪いの皇太子」と呼ばれる自分と、仲良くしてくれるのはレイだけだった。
だから彼にとって妹の幸せが自分の幸せだった。彼女が熱を出せば看病し、怪我をすれば処置をし、食べ物や飲み物はたまに分けてあげた。泣いていれば慰め、怒っていれば諫め、楽しそうなら喜んだ。
しかし、いつかこの星を出て、自由を得ようと考えていた彼は別れが来る事も知っていた。
そしてこっそり星を出た日、何故かレイは気付いていた。飛行船に乗る直前、レイが走って来て、「行かないで。」と懇願してきた。気が立っていたアルベルトはレイに初めて手を挙げた。それでも止めようとするレイを地球で言う所のスタンガンのような物で気絶させた。気を失う直前、小さな悲鳴を上げながら向けてきた瞳は1日も忘れた事は無い。
今はアルベルトは少し変わった。生活は大変になったが、誰からも気味悪がられたりしないし、大切な物も増えた。バイト先のカフェの店主とその奥さん、そこの常連客、知り合っていった友人達(中には同じように、宇宙から来た者もいる)、近所の色々くれるおばさん、銭湯でいつも瓶牛乳を奢ってくれるおじいさん…。信じられないが、恋人も出来た。まさか自分が家族愛(？)以外の愛を感じるなんて(まして地球人と)思いもしなかったのだ。
それでも昔、宝箱から投げ出した大事な妹を忘れた事は無い。
まだ、宝箱には空きがある…。
その空きを埋めるため、アルベルトは走り出す。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アル♪(プロフ) - 更新お疲れさん！これからも楽しみにしてるね〜お互い更新頑張ろ！ (2019年11月26日 14時) (
レス) id: 4c9303def2 (このIDを非表示/違反報告)
abc123www - はい！深まってきています!！! これからも読者の皆さん、よろしくお願いします！! (あんまり返せないけど、いろんな人のコメント待ってます！!感想とか支えになるので…。) (2019年3月31日 19時) (携帯から) (レス) id: 8f16e9cb2c (このIDを非表示/違反報告)
アル♪(プロフ) - 段々ワールド深まってきたね←引き続き更新頑張ってねん笑 (2019年3月31日 10時) (レス) id: 4c9303def2 (このIDを非表示/違反報告)
アル♪(プロフ) - 苗字なんて読むのか分からないので、教えてくださいな！更新頑張って笑 (2019年3月8日 18時) (レス) id: 4c9303def2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：abc123www | 作成日時：2019年3月7日 22時
