少女漫画のようにはいかなくても【松野千冬】

両想い＊21 ページ22

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『疲れた、寝る、おやすみ』



「Aさん服着るの早」



『千冬もさっさと上を着ろ。そして寝ろ』









こういうのって普通は少し話したりするもんじゃねぇの？
「疲れた、寝る、おやすみ」って言われただけなんだけど。


俺に背を向けて眠るAさん。
うっすら耳が赤くなっていて照れてんだなって思った。
気付いたら同時に布団かぶっちまったけど。


…さっきのAさん、スゲー可愛かったな。
いつも可愛いけど、いつもより素直で大人っぽかった。
……あと、だいぶえろかった。










『ぁ…ん、ち、ふゆ…っ…あぁ…っ』




『声…聞かないで…っん…』




『千冬…好き』










俺はベッドに上がると、その体を後ろから抱きしめた。
一瞬ピクッと動いたけれど、抵抗も何もせずに俺にされるがままでいた。










『あのさ…千冬の布団ちゃんと用意してるんだよ？』



「でもこのままじゃ…ダメですか？」



『………許す』



「へへ…Aさんあったけぇ…」



『…あっそ』











この先どんなことがあっても、どんな変化があっても、
俺がAを好きなのは変わらねぇんだろうな。


振り向かせるのにどれだけ苦労したことか。
だから今は些細なことが嬉しくて、奇跡みたいに思える。


これからもずっとAさんの隣で笑っていたい。
これからもずっと俺の隣で笑っていて欲しい。













もう絶対離してやんねぇからな。













そんなことを思いながら、その体を思い切り抱きしめた。



















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