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「……俺を殺すつもりか？」
「殺す？そんなことしないさ。君達は住居不法侵入で警察に突き出させてもらう。まあ、警察の方でそれ以外いろいろと追求されるかもしれないけどね」
「隠しカメラか……」
「ご名答！」
大野は楽しそうに拍手をした。
田村は拳を握りしめる。
さっきのやり取り、
それを記録されていたのか。
あの中で俺は
川奈の殺害を告白してしまっている……。
「……取引だ」
「取引？」
大野は首をひねる。
「そうだ。お前らが仲間を、櫻井とかいう奴を殺している証拠を俺達は持っている。お前らがそいつを殺したことは黙っていてやるから、俺達のことも見逃してくれ。宝石の件は……売値の３割をお前らに渡す。それでどうだ？」
田村は媚びるように言う。
もちろん、大野達に金を渡すことなど後藤田が許すわけはないが、今はこの状況を打開することが肝心だった。
しかし大野は答えることなく、
一歩近づいてきた。
「ま、まて、３割じゃ足りないなら半分だ。半分くれてやる！」
田村は声を張り上げるが、大野は無言のままさらに数歩近づいてきた。
「止まれぇ！」
田村は懐から拳銃を抜く。
大野の動きが止まった。
「ふざけるな。半分の金をもらってお互いに何も知らなかったことにするか、ここで拳銃を持った俺とやり合うか。どっちが得かなんて分かるだろうが！」
叫びつつ銃口を上げた田村の思考は、大野の顔に浮かんだ表情を見て凍りつく。
大野は笑っていた。
子どものように無邪気な笑み。
奥歯が軋んだ。
完全に頭の線がキレている男。
交渉なんて出来るはずがない。
こいつはこの状況を、
心から楽しんでいるのだから。
殺るしかない！
田村は引き金を絞る。
その瞬間、大野の姿が視界から消えた。
混乱した田村は辺りを見回す。
しかし、大野の姿は見つからなかった。
そのとき、下方からじゃりという音が
聞こえてきた。
視線を落とした田村の口からひゅーと笛を
吹くような音が漏れた。
すぐ足元に大野がしゃがみ込んでいた。
緊張で自分の視界がせばまっていることを見抜き、大野が体を沈めて一瞬で間合いを詰めてきていた。
田村は銃口を下に向けようとする。
しかし、ここまで接近されては拳銃の有利は完全に消え去っていた。
銃を持つ田村の手を左手で軽く払いながら大野が立ち上がる。
大野が肩を柔らかく回転させながら右肘を打ち込んでくるのを、田村は呆然と見つめることしか出来なかった。
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ここここ(プロフ) - はじめまして！！！最近この作品と出会いまして、面白すぎて一気読みしました！読みながら「この人が怪しい、いやあの人も怪しいな…」と推理しながら読みましたが、まだまだ私の推理は稚拙なものでした…笑 続編も楽しみです！ (2021年11月18日 19時) (
レス) @page44 id: 6c5860f770 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - stormさん» 読んで頂きありがとうございます。続編の方も宜しくお願いします！ (2021年11月12日 12時) (レス) id: 53c29ae25f (このIDを非表示/違反報告)
storm - どうも！とうとう完結か…とfin.の文字に寂しさを感じていた私ですが、続編という文字を見て舞い上がりましたw本当に完成度が高くて、すごくハラハラドキドキさせられる、素晴らしい作品でした。完結までお疲れさまでした！そして続編でもお世話になります！ (2021年11月9日 22時) (レス) @page43 id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 彌生さん» 初めまして。読んで頂きありがとうございました。是非、続編でもドキドキを味わって頂けたらと。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - あきらさん» 初めまして。サスペンスが好きなんですね。楽しんで頂けたようで良かったです。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年9月24日 20時
