第３章−７− ページ20
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いったい何が起こっているんだ？
大股にビルのエントランスを出た後藤田は腕時計に視線を落とした。
時刻はすでに午後９時を回っている。
新宿と新大久保の間に位置するこの周辺は多くの出来上がったサラリーマンが闊歩している。
邪魔だ！
前方からやって来た千鳥足のサラリーマンの集団を手で掻き分けて進もうとすると、集団の後ろにいた体格の良い若い男と肩がぶつかった。
体重60キロもない細身の後藤田は大きくバランスを崩す。
「あっ、すみません」
メガネをかけた男は首をすくめながら謝罪した。
いつもなら怒鳴りつけていただろう。
しかし、いまはそんな余裕はなかった。
後藤田は大きく舌打ちすると、再び早足で歩きはじめる。
愛車のSUVが置いてある駐車場までは300メートルほど離れていた。
普段なら気にならない距離が、今日はやけに遠く感じる。
50過ぎの体で階段を駆け下りて来たせいか、それとも焦りのためか、胸の中で心臓が激しく鼓動している。
10数分前、裏の仕事用に他人名義で契約してあるプリペイドの携帯電話に、『先生』から着信が入った。
『先生』は「田村と菊野が警察に逮捕されたよ」とだけ告げると、すぐに通話を切った。
度の強いメガネ越しに携帯電話を眺めながら後藤田は鼻の付け根にしわを寄せた。
田村と菊野からはその１時間ほど前に連絡が入り、『双子の涙』を川奈が飲み込んでいたと知らせてきていた。
二人が戻るのを待って、川奈の遺体を掘り返しに行く予定だった。
後藤田は念のためにと田村の携帯番号に連絡を入れた。
しかし、着信音は鳴るものの田村が出ることはなかった。
続けて菊野の電話番号にもかけてみたが結果は同じだった。
本当に二人が逮捕されたのだろうか？
そうだとしても、昔からの付き合いの二人が自分を売ることはないだろう。
しかし、日本の警察は優秀だ。
二人が口を割らなくても最終的に自分までたどり着く可能性は高い。
もしあの二人とともに行った裏の仕事が明るみに出れば、良くて一生塀の中、下手をすれば吊られかねない。
身を震わせた後藤田は、慌てて社長室を出たのだった。
しかし、もし二人が逮捕されていたとして、どうやって『先生』はそのことを知った？
早足で駐車場に向かいつつ、後藤田は思考を巡らせる。
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ここここ(プロフ) - はじめまして！！！最近この作品と出会いまして、面白すぎて一気読みしました！読みながら「この人が怪しい、いやあの人も怪しいな…」と推理しながら読みましたが、まだまだ私の推理は稚拙なものでした…笑 続編も楽しみです！ (2021年11月18日 19時) (
レス) @page44 id: 6c5860f770 (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - stormさん» 読んで頂きありがとうございます。続編の方も宜しくお願いします！ (2021年11月12日 12時) (レス) id: 53c29ae25f (このIDを非表示/違反報告)
storm - どうも！とうとう完結か…とfin.の文字に寂しさを感じていた私ですが、続編という文字を見て舞い上がりましたw本当に完成度が高くて、すごくハラハラドキドキさせられる、素晴らしい作品でした。完結までお疲れさまでした！そして続編でもお世話になります！ (2021年11月9日 22時) (レス) @page43 id: 5bdda0872c (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - 彌生さん» 初めまして。読んで頂きありがとうございました。是非、続編でもドキドキを味わって頂けたらと。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
未翔(プロフ) - あきらさん» 初めまして。サスペンスが好きなんですね。楽しんで頂けたようで良かったです。 (2021年11月9日 16時) (レス) id: b3cb87418b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：未翔
| 作成日時：2021年9月24日 20時
