失恋日記【AS】 (ページ12)

今日:4 hit、昨日:10 hit、合計:32,319 hit

＊願望ページ12

・

忘れたい。

でも、好きでいたい。

この矛盾し続ける想いに自分自身でも飽き飽きする。

どうしてこんな事になってしまったのか。

・

相葉くんに想いを吐露してから、
俺の心は少しだけ軽くなった。

そして彼は毎日うちに来るようになった。

何かがある訳ではない。

ただ２人で酒を飲んでくだらない話をして。

「え？あの曲？それはやらかしてるよー」
「やっぱり？
やっばいなぁ松潤に怒られるー」
「あーあー」

「この前のロケのやつ？」
「そうそう」
「絶対うまいじゃん！
こんなに貰っていいの？」
「大サービス」

「明日かぁ」
「ツアー前日もここにいて大丈夫なの？」
「荷物はまとめてるから安心してよ」
「んーまぁそういう問題じゃないんだけど、まぁいっか」

ただ笑うんだ、２人で。

もともと何十年と一緒にいた人だし何回も酒を飲んだこともあるから気まずくなったりは全くしないけれど、こんなに毎日同じ時間を過ごすことはなかった。

メンバーの話もするし仕事の話もする。

そしてこの人にしか打ち明けていないあの話も。

「まださ、好きなんだよね。
もう、どうにもならないのにさ」

「好き」という言葉。
たった一言なのに以前は言えなかった。

けれど、一度境界線を越えると、どうでもよくなったかのように容易く出てくる。

「ずっと想ってて良いと思うよ」

「でも、」

「それで誰かが迷惑するの？ニノが悲しむの？」

同じ話を何度したか分からない。

それでも彼は何度だって寄り添ってくれた。

ずっと背中に温もりを感じていた。

「ずっと傍にいるからね翔ちゃん」

俺は守られてばかりでいいのだろうか。

優しい彼にいつまでも甘えていていいのだろうか。

・

でも、俺の心は間違いなく
彼によって救われていた。

それが分かるから彼の傍から
離れられなくなる。

「翔ちゃんさ、相葉さんと何かあった？」
「何かって？」
「ここのところ相葉さんとよく一緒にいるし、相葉さんのことよく見てるから。何かあったのかなぁと思って」
「ニノミヤさんの観察力には負けますよ」

こんな以前と変わらないやりとりが出来るようになったのも彼のお陰なのに。

どうしてまだ好きなの？

忘れたいって、そう思うのに。
どうして俺の心にはまだ彼がいるのだろうか。

そうやってグルグル考えていたら、いつの間にか彼が傍にいて「無理に忘れようとしなくていいから」って優しく笑うんだ。