失恋日記【AS】 (ページ11)

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[side.A]

「泣いていいよ、翔ちゃん。ずっと一人で誰にも言えずに辛かったね。これからは俺が毎日聞くから、ずっと傍にいるから」

「……なんで」

涙を流しながら俺を見上げる彼。

未だかつて俺の前で翔ちゃんが
こんな風に泣くことは一度だってなかった。

いつだって一人で耐えてたんだ。

「翔ちゃんが大好きだから。それだけの理由じゃダメ？」

彼の隣に座りそっと肩を抱く。

本当はもっと早くこうしたかった。

「翔ちゃん、大好きだよ」

何度だって伝える。

それで翔ちゃんの心が少しでも軽くなるなら、俺の想いなんて届かなくてもいいって本気でそう思ってるから。

「相葉くん俺も、大好きだよニノ」

「うん、言えたね。やっと言えた」

これで良いんだ。

幾つもの涙を流しながら、震える声でようやく彼は想いを言葉にすることが出来た。

悔しくも翔ちゃんにとっては失恋で。
叶わない恋になってしまった。

けれど、それが俺たちの始まりになった。

・

レギュラー番組の収録日。

俺は必ず局に行く前にある場所に向かう。

「今日もここで良いんですか？」

「そうそう、ありがとね。
帰りは翔ちゃん家に寄ってから帰るから」

「ホントに仲いいですね。
最近よく櫻井さんと一緒ですもんね」

「そーなの。翔ちゃんと毎日飲んでるわ」

翔ちゃん家に寄って彼の移動車に
俺も乗せてもらって行っている。

だから俺のマネージャーくんは俺を自宅から翔ちゃん家に送り届けてそのまま一人で局に向かっている。

なぜ、そんなことをしているのか。

それは俺が翔ちゃんと一緒にいる時間を増やしたかったから。

最初は翔ちゃんも翔ちゃんのマネージャーも「何言ってんの？」って顔で見てたけど、俺がどーしてもって粘ったら最後は了承してくれた。

「現場に行ったら会えるのに、って思ってる？」

「いいえ。相葉さんが考えてることはちゃんと分かってますよ。櫻井さんのためですよね？ここのところ仕事詰め込んでたみたいですし、相葉さんが傍にいたらリラックスできると思いますよ」

さすが俺のマネージャー。
でも、理由は不正解かな。

「ほんと翔ちゃんはワーカホリックだからしっかり休ませないとね」

・

翔ちゃんはお酒が入ると
本音を話してくれるようになった。

でもシラフの時はまだまだダメ。

「なんでこんなに好きなんだろ。
叶わないって分かってるはずのに」

悔しいけど、それは翔ちゃんが本気で
ニノに恋してたからだよ。